自治体ニーズ狙う「XenApp Secure Browser Edition」、同時にXenApp/XenDesktop新版も
シトリックス、“ブラウザ仮想化専用”のXenApp新製品を投入
2016年03月25日 07時00分更新
シトリックス・システムズ・ジャパンは3月24日、仮想アプリケーション/仮想デスクトップ製品の各最新版「Citrix XenApp 7.8」「同 XenDesktop 7.8」を発表した。同時に、Webブラウザ専用の仮想化製品「XenApp Secure Browser Edition」の提供も開始している。
Skype for Business最適化、アプリ管理容易化などXenApp/XenDesktop新版
XenApp/XenDesktop 7.8の主な新機能としては、マイクロソフト「Skype for Business」におけるビデオ/音声品質の強化、マスターOSイメージとは独立した形で仮想アプリケーション群を配布できる「Citrix AppDisk」、「Citrix Studio」へのマイクロソフト「App-V」の管理統合などがある。発表会では、同社 シニアプロダクトソリューション推進マネージャーの竹内裕治氏が概要を説明した。
Skype for Businessでは、シトリックスとマイクロソフトの協業でアドオンソフトウェア「HDX RealTimeOptimization Pack 2.0」を開発。VDI環境でSkypeを利用する場合に、ビデオ/音声ストリームをVDIサーバー間ではなくクライアント間でやり取りする仕組みを取ることで、ネイティブ利用時に近い高品質なビデオ/音声を実現した。
また、部門や業務内容の違いで異なるアプリケーション環境を求めるユーザーに対し、これまでは異なるマスターイメージを準備/管理する必要があったが、Citrix AppDiskによって、OSイメージとアプリケーションセット(複数アプリケーションをパッケージ化したもの)を起動時に組み合わせる形で提供できるようになった。加えて、複数のOS/アプリケーション間の互換テストはAppDNAにより自動化されており、イメージ管理やパッチ適用などの負担が大幅に軽減される。
そのほか、複数ロケーションにまたがる大規模なXenApp/XenDesktop環境の運用効率化、「Citrix Director」における監視機能の向上などがある。
リリースライフサイクルについても新たな発表があった。XenApp/XenDesktopでは、3~9カ月ごとに新機能を追加しながら新バージョンをリリースしているが、より長期のライフサイクルを求める顧客向けの「Long Term Service Release(LTSR)版」も別途提供していく。12~24カ月ごとにリリースされるLTSR版では、5年間のメインストリームサポートと5年間の延長サポート(オプション契約)により、最長10年間のサポートが受けられる。
たとえばXenApp/XenDesktop 7.6 LTSR版(2016年1月リリース)の場合、メインストリームサポートは2021年1月まで、延長サポートは2026年1月まで提供される。その間、新機能の追加はないが、バグ修正のための累積アップデートは継続的に提供される。
ブラウザ仮想化専用のXenApp Secure Browser Editionをリリース
もう1つ、同日発表されたXenApp Secure Browser Editionは、Webブラウザの仮想化だけに特化したXenAppの新エディションとなる。社内ユーザーのクライアントPCには、XenAppサーバーからブラウザの「画面」情報のみが転送される仕組みのため、社内へのマルウェア侵入などを防ぐことができる。
HTML5版の「Citrix Receiver」を活用することで、ユーザーが社内向け/社外向けのブラウザを使い分けることも簡単にできる。たとえば、社内業務アプリケーションには旧バージョンのIEを使い、別のタブでChromeやFirefoxの最新版でインターネット閲覧をする、といったこともできる仕組みだ。
XenApp Secure Browser Editionの希望販売価格は、1ユーザーまたは1デバイスあたり2万2500円(税抜)。ただし初年度ソフトウェアメンテナンスの購入が必須となっている。
自治体や製造、医療、金融など業種別ソリューション提案にも注力
シトリックス マーケティング本部長の高沢冬樹氏は、最近ではワークスタイル改革やインフラ課題/セキュリティ課題の解消と並んで「業種/業務別ソリューションの提案」にも注力していることを説明した。
たとえば前出のXenApp Secure Browser Editionは、総務省「情報システム強靱性向上モデル」において組織内部/インターネットのネットワーク分離が求められている地方自治体に向けた提案となる。さらに、ブラウザ仮想化を入口としてXenApp/XenDesktopの導入を進めることで、将来的に必要とされるテレワーク/モバイルワークの取り組みにも活用できると説明した。
他方、製造業では仮想デスクトップでの3D CAD利用を可能にするGPU+デスクトップ仮想化が、医療分野では回診時の電子カルテ+タブレット利用や患者説明時の大画面タブレット利用などのソリューションが注目されているという。
また、以前から仮想デスクトップの採用が進んでいた金融業界においても、近年では「モバイル利用による業務効率やサービス品質の改善」という新たな目的が生まれており、モバイルプリンタやサインタブレットといった周辺機器への対応に注力していると語った。