車載専用の改良を加えた
AMOS-825の特徴
続いて、Cody世羅氏により、AMOS-825の説明があった。AMOS-825そのものは、NXPの1GHz駆動のi.MX6 Quad(Quad Core Cortex-A9)に1GBのDDR3メモリーと16GBのeMMCフラッシュ、それとさまざまな周辺回路を搭載したボードを収めたファンレスシステムである。
ボードの構成的にはVAB-820にかなり近いが、ストレージの容量とかCAN I/Fの搭載など違いもあり、VAB-820をベースに開発したJapanTaxi向けスペシャルといった趣である。
そのAMOS-825は、JapanTaxiからの要望を受け入れるための製品である。具体的な内容は下記のとおり。
- 夏場にダッシュボードに置いても熱暴走したりシャットダウンしない。
- 車の電源(ACC)を切っても(例えばアイドリングストップのためにオフにする)、数分間はシステムが動き続ける。
- さまざまな周辺装置(メーター、プリンター、決済機など)を接続できる。
- Androidをベースにするが、カスタマイズが必要。
こうしたニーズを満たすものとしてVIA側がAMOS-825のシステムを提案したという経緯があったそうだ。 ちなみに当初は前モデルであるAMOS-820を提案したらしいが、いろいろと要望がJapanTaxi側からあり、これを受けてカスタマイズしたモデルがAMOS-825となるようだ。
特徴としては、AMOS-820のパネルと比較するとわかりやすいが、以下の違いが見られる。
- コネクター類が整理され、液晶パネルは25ピンのSCSIマルチコネクターを流用する形でまとめて接続可能。
- 電源範囲が12Vのみから9~36V可変になり、さらにACC入力も用意された。
- 不要なI/F類が排除され、またUSBは車内での振動での脱落防止のためロック付きとされた。
- 内部にWiFi/BTとGPSモジュールも追加され、このアンテナを直接接続できるようになった。
- 液晶ディスプレーが前提になった。
下の画像が実際のパッケージであるが、本体はダッシュボードの下、あるいはグローブボックス内に収め、このケーブルでダッシュボード上に置かれた液晶ディスプレーと接続する形になる。
なお会場には他にも、AMOS-825の元になったVAB-820や、x86ベースのAMOS-3005、ARTiGO-A820、スマートHMIタッチパネルスターターキット(本国での名称はMobile360 HMI Touch Panel Starter Kit)などが展示されていた。
ちなみにCody世羅氏に後で話を聞いたところ、全体の出荷金額ベースでは、まだx86ベースのシステムの引き合いの方が大きいそうだが、新規案件の数(業界用語ではDesign Winの数)は圧倒的にARMベースが多いそうである。
実際今回のシステムもARMベースでないと意味がないわけで、今後はこうした組み込み向けもx86+Windowsの構成から、ARM+Linux(もしくはAndroid)という方向にシフトしつつあることをうかがわせるものだった。