急変貌する“巨人”―「IBM InterConnect 2016」レポート 第3回
IBM InterConnect 2016で語られた、IoT時代にWatsonが必要とされる理由
なぜ「コグニティブIoT」か、IBMがWatson+IoTで目指す世界
2016年02月26日 08時00分更新
IBMは米国時間2月23日、開催中の「IBM InterConnect 2016」において、コグニティブコンピューティングサービス「Watson」の新しいAPIを発表した。同イベントでは、昨年発足したWatson IoT事業部門幹部が、IoT時代におけるWatsonの“コグニティブ”技術の重要性、IBMが目指す「コグニティブIoT」の世界を語った。
オンラインデートもWatsonがサポート? 感情を理解する新APIが登場
IBMでは同社のPaaS「IBM Bluemix」を通じて、すでに30を超えるWatson APIを提供している。先週には日本語対応APIの提供も開始したばかりだ。
今回のInterConnectで発表された新しいAPIは、チャットや電子メールなどのテキストから「喜び」や「怒り」といった感情のトーンを理解する「Tone Analyzer」、自然言語解析APIスイート(AlchemyAPI)に組み込まれて同様の感情分析を行う「Emotion Analysis」、画像に含まれるモノや意味を識別する「Visual Recognition」の3つとなる(いずれもベータ版、日本語未対応)。
加えて、提供中のテキスト読み上げ音声合成API「Text to Speech」では、感情を込めた口調での読み上げを可能にする「Expressive Text to Speech」機能が追加された(現在は英語のみ対応)。テキストにSSMLタグを挿入することで、「ウキウキした口調で」「謝罪するときの口調で」「確信のない口調で」といったスタイルの読み上げが可能になる。
API以外にも、iOS(Swift)やUnity向けのWatson SDK提供も開始しており、30以上のAPIを介してWatsonの能力を活用するモバイルアプリの開発も容易になっている。
InterConnectの基調講演では、Watson事業部門GMのデビッド・ケニー氏が、今回の新APIを活用することで「より感情的なコミュニケーションを支援するアプリケーションが開発できる」と紹介した。
たとえば、オンラインデートサイト(お見合いサイト)のConnectidyでは、Tone Analyzerでユーザー間のチャットのやり取りを分析し、そのトーンを表示する仕組みを開発した。これにより、ユーザーは相手の感情が理解しやすくなり、同時に、自分の意図が誤解されないような内容でメッセージを送れるようになったという。
そのほかのAPIについても、レビューサイトに書き込まれた口コミ情報のトーン分析、「野球とクリケット」のような見分けの難しい画像の分類といった活用例が紹介された。
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