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「ふるさとテレワーク」は地方を救うか!? 第2回

邪魔なのは「本社」という格差概念

テレワークで加速!会津若松で急成長する「データ分析産業」

2016年03月04日 06時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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「データ分析」が地方を救う産業に

 その真意を中村氏はこう説明する。

 「東京本社、地方工場のように、これまでの産業構造は首都圏一極集中。そのスピード感で経済を牽引してきたのだが、昨今では、地方との産業格差を生む原因となっている。さらに地方の工場やコールセンターが次々と海外に流出。会津若松でも、最大5000名ほどの雇用があった半導体工場が撤退・閉鎖し、産業にぽっかりと穴が空いてしまった。地方創生を考えるならば、地方がこれまでの“工場誘致モデル”にすがるのは危険で、より高付加価値な業務や成長産業を誘致して、地域の自立を進めなければいけない。その成長産業になりうる業務がデータ分析。例えばプログラミングはオフショア化が進んだが、データ分析は機密情報を扱うため、プライバシーや情報漏えいの問題があって海外には持ち出しにくい。“国内前提”だからこそ、日本の重要産業に育っていく見込みが高いのだ」

 地方にも高付加価値な産業を作らなければ、いずれ消滅してしまう。すべての業務・機能を地方に持っていくのは難しいが、今後大きな産業となるデータ分析は、東京でなくてもいい。ならば最初から地方で育てるべきと考えたわけだ。

 実はアクセンチュアと会津若松市の付き合いは長く、2011年に震災復興のための事業拠点を同市内に設置したことから関係が始まる。その拠点が、中村氏が所属する「福島イノベーションセンター」なのだが、設立時に「IT分野でこれから国内に作るべき拠点は何か」と考え、そのときに辿り着いた答えが「ビッグデータ」だったという。

福島イノベーションセンター

現地採用のスタッフが働いていた

 会津若松氏市も「データ分析」を重視しており、2012年度から推進している「会津若松スマートシティ計画」においては、再生可能エネルギーやスマートグリッド(次世代電力網)などによる「スマートシティ」を目指しつつ、ビッグデータ基盤を構築。収集されるさまざまなデータの分析を基に「医療・福祉」「農業」「エネルギー」「観光」の重点産業を活性化させる方針を描いている。

 アクセンチュアが拠点を会津若松市に決めた理由も、「第一次産業に加えて、こういった魅力的な産業が多く、規模感もちょうど“コンパクトシティ”のような側面があるため、実証の場として最適だったこと。そして何よりも、日本初のIT専門大学として、アナリティクス人材育成にも力を入れている“会津大学”の存在が大きかった」という。

会津大学。日本初のIT専門大学として1993年に設置された。国内にデータ分析官が不足していることから、実践的アナリティクス講座なども開始。コンピュータ理工学を牽引している

 そうした経緯からさらに「ふるさとテレワーク」につながっていくのだが、背景となったのは、2015年7月に発足した「会津若松市まち・ひと・しごと創生包括連携協議会」だ。以前より地元企業や金融機関と個別協定を結んできた同市だが、「産官学金労言(産業界・行政・教育・金融・労働界・メディア)」が一体となって、より効果的に地方創生を進めるためには、個別協定ではなく包括協定が必要ということで発足した。

 この協議会に参加する企業、およびアクセンチュアが参加している「オープンガバメントコンソーシアム(OGC)」の会員企業も含め、およそ50社が会津若松市に出入りしていた。それら企業がテレワークを試す機会として「ふるさとテレワーク」が有効活用できると考えたという。

 「ベンチャー企業が地方へ移転した成功事例は沢山あって、それももちろん大事なのだが、会津若松市で考えているのは中規模な移転。例えば、大企業の部門単位で地方に移ってくるようなモデルを目指している。そうした企業は、地方でのテレワークで問題なく業務ができるかを試したいと考えているので、いわば“企業誘致の前段”として、テレワークが気軽に試せるサテライトオフィスが作れればと思った」(中村氏)

 では、実際に「ふるさとテレワーク」としての成果はどうだったのだろう。

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