企業のマイナンバー対策は攻めのIT投資が鍵
では、なぜこれだけの強気の見通しがでているのだろうか。
大塚商会の2015年度業績発表の席上で、大塚社長は次のように語った。
「2016年は、世界経済は不透明ながら、国内経済は緩やかな成長が見込まれる。そうしたなか、人手不足の深刻化などを背景に、生産性向上だけでなく、攻めのIT投資が期待される」。さらに、「その一方で、タブレット市場の拡大や、Windows 10への無償アップグレード期間終了による更新の本格化、4月12日のSQL Server 2005のサポート終了、マイナンバー制度の運用本格化、軽減税率導入に向けた対応、電力自由化などの動きがあり、企業のIT活用ニーズ、省エネニーズは底堅いと判断している」とする。
Windows 10の無償アップグレード期間の終了については、もしかしたら延長されるのではないかという憶測も出ているが、「どちらになっても、なにかしらの影響があるだろう」と期待を寄せる。
とくに、期待をしているのがマイナンバー制度の影響だ。
だが、その点については、次のように指摘する。
「マイナンバー制度の運用開始にあわせて、IT投資を行なわなくてはならない企業がたくさんある。だが、ただ単にマイナンバーに対応するだけでは、経費になるだけ。それにともなって作られたセキュアなインフラを生かして、タブレットなどのほかの機器とネットワーク化し、生産性をあげていくという提案ができれば、経費ではなく、強い会社になるための前向きなIT投資になる」とする。
マイナンバー制度の導入によって不可避なIT投資を、攻めのIT投資に変えられるかどうかが鍵だ。
「日本の企業の裏方役として、企業を元気にするお手伝いをしていきたい。エンドユーザーに一番近い団体として、これからの課題を解決していく役割を担いたい」と、大塚氏は、JCSSAの会長として抱負を語る。
今年のIT業界の成長要素はいくつもあるが、ユーザーにとってメリットをもたらす提案ができなければ、次の成長にはつながらない。
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