今回のことば
「PCメーカーとは呼ばれたくはない。だが、ポータブックのキングジムと呼ばれることを目指したい」(キングジム・宮本彰社長)
キングジムは、Windows 10を搭載したモバイルPC「ポータブック XMC10」を、2月12日から発売する。キングジムにとっては初のPC市場参入。だが、キングジムの宮本彰社長は、「この製品を投入したからといって、我々はPCメーカーとは呼ばれたくない。これは、当社がPCメーカーになることを目指して開発したものではない」と語る。
日本マイクロソフトのSurface 3と同じインテル Atom x7-Z8700(4コア、1.6GHz)をCPUに採用。また、OSにはWindows 10を搭載する。Word Mobile、Excel Mobile、PowerPoint Mobile、OneNoteで構成されるOffice Mobileも標準搭載している。こうしたスペックからみれば、明らかにPCのカテゴリーに含まれる製品だ。
だが、PCメーカーのモノづくりとは一線を画した製品であることを、あえて強調してみせる。
実は、今回の製品投入の下地には、2008年に発売したデジタルメモ「ポメラ」での成功があげられる。ポメラは、文字入力に特化することで、用途やターゲット層を絞り込むという開発コンセプトが市場のニーズに合致。ヒット商品となった。
今回のポータブックでも、用途を絞り込むというコンセプトを踏襲。外出や出張が多いビジネスマンをターゲットに、移動中に作業したり、外出先でプレゼンテーションを行なったり、資料を作成したりといった用途に絞って開発したという。
同社では、「出先では使用する用途が限定されることから、高性能なスペックは不要と判断。そのため、CPUにはAtomを採用し、同時にファンレスも実現できた。性能が重視されるPC市場において、スペック至上主義ではない製品を投入する」と位置づける。
そして、キングジム 開発本部の亀田登信本部長は、「ビジネスの未来は変えられないが、明日の出張を変えられる製品」と、ポータブックの役割を示してみせる。
「スマホやタブレット市場は、技術革新が速く、開発競争も激しいため、キングジムの体力では参入が難しい。だが、PCは、ビジネスツールとして幅広く活用されているものの、コモディティー化しており、目新しい製品の登場が少ない。成熟市場に入ったことで、各社の製品に特徴の差が少なくなってきた。このタイミングであれば、ターゲットや使用シーンを絞り込めば、後発の我々でも市場参入の可能性があると考えた」とする。
まさに、ポメラと同じような一点突破の手法での製品づくりを目指したというわけだ。
(次ページでは、「テプラ以来の大きな挑戦」)
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