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NAMMショー合わせで発表された製品を見る。

真空管のアプローチ多様化! ギターとアンプのトレンドを見る

2016年02月06日 12時00分更新

文● 四本淑三

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歴代マーシャル博物館といえるアンプ「CODE」

CODE

 マーシャルは久々の新シリーズ「CODE」を発表しています。そのまっすぐなネーミング通り、思い切りデジタルのモデリングアンプ。「えー、あのマーシャルが?」 とか「いまさらモデリングかよ」など、みなさんさまざまなご意見はおありでしょうが、中身を見ると納得です。

 アンプモデルはJTM45からJVM410Hまで、歴代機種が14種。真空管モデルはEL34、5881、EL84、6L6の4種。キャビネットモデルは1960、1974Xほか8種と超充実しており、まさにマーシャルの歴史を一台に凝縮した、博物館的モデルと言えます。

 モデリングと同時に、5つまで同時使用できるゲイン・空間系のエフェクトも内蔵。さらにはBluetoothでスマホとの接続し、専用アプリの「Marshall GATEWAY」を使って、それら音色の操作やプリセットの共有ができるそうです。アンプにはヘッドフォン端子とUSB端子が付いて、自宅での練習からレコーディングまで幅広く対応できる仕様です。

 モデルバリエーションは、10インチスピーカー搭載で25Wの「CODE25」、12インチ50Wの「CODE50」、12インチ2発で100W の「CODE100」、そして100Wのヘッドアンプ「CODE100H」とキャビネット「CODE412」。発売時期や価格はまだ発表されていません。

BOSS「技アンプ」ポストJCになり得るか

WAZA Amp Head

 BOSSブランドからは初のスタックアンプが登場。その名を「WAZA Amp Head」。アンプのフロントパネルとキャビネットに大きく「技」と書かれています。日本語で言うと「技アンプ」。とても言いやすいです。英語圏でもワサビをWhat's Upと言ったりするように、WAZA AMPも親しまれるようになるでしょうか。

 その技アンプは出力150Wのソリッドステート型で、組み合わせるキャビネットとして、12インチスピーカー4発の「WAZA AMP CABINET 412」と、同じく12インチ2発の「WAZA AMP CABINET 212」が用意されています。今のところ価格、販売時期ともに発表されていません。

WAZA AMP CABINET 412

WAZA AMP CABINET 212

 技アンプが狙ったのは「70年代から80年代にかけてのブラウン・サウンド」ということです。真空管アンプを構成するパーツが相互に影響して生まれる挙動を解析し、真空管アンプでしか出せなかった音を得ている、とメーカーは説明していますが、長年コンパクトエフェクターで、呆れるほど多様な種類の歪を作り分けてきたBOSSとしては、それくらいお手のものでしょう。

 ところでブラウン・サウンドというのは、私の認識ではエドワード・ヴァン・ヘイレンが自身のギターサウンドを形容した言葉であり、そうした音の出る既成品が存在したわけではありません。おそらくは本人やエンジニアがあーだこーだやった末に生まれた音です。で、それをメーカーが真似しようと、平たく言えばそういうことになるわけです。

 YouTubeのデモを聴く限り、確かに雰囲気はあるんですよねえ。

 この技アンプは、拡張スロットに挿された「トーンカプセル」の交換で音色の変化が楽しめるのも特徴です。トーンカプセルは真空管に似たソケット型なのがおもしろい。真空管の交換で音の違いを楽しむイメージで使ってくれ、ということでしょうか。これは、かなり実用的な仕組みであるとも思います。

 たとえば、もし将来、技アンプがJC-120のようにスタジオ機材の定番になったとしたら、好みのカプセルさえ持って行けば、どこでも自分の好きな音が出せるわけです。

 もう一方のスタジオ機材の定番であるマーシャルは、モデルやコンディションで音がぜんぜん違う。それで、どこでも安定した音が出るJC-120に接続する前提で、エフェクトボードで歪みを作って持ち歩く。そういう人が多いわけです。それがカプセル一個で好きな音が得られるとしたら、機材事情も変わってくるでしょう。そんなわけで技アンプのご発展を心よりお祈りしております。

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