「クローン」はiPhone機種変更なら誰でも行なう方法に過ぎない
ネットや雑誌では「クローンiPhone」と書いているが、特別なものではない。iPhone同士の機種変更であれば、多くの人がやる「iTunesによるバックアップと復元」に過ぎない。「暗号化バックアップ」を行なう必要があるが、アカウントデータを引き継ぐには「暗号化バックアップ」が必須なので、多くの人がこちらを利用しているだろう。
つまり誰でもやる方法であり、これを「クローンiPhone」と呼ぶのであれば、iPhone同士のバックアップ・復元を行なった人は、全員「クローンiPhone」になってしまう。「クローン」という言葉には、本来はコピーがないはずなのにコピーができてしまう、という意味があるだろうから、「クローンiPhone」は適当な名前ではないと筆者は思っている。
それに対して、「LINEクローン」であれば意味は通じる。LINEは本来であれば、1台のスマホにつき1台のみが使える仕様になっている。機種変更したら、古いスマホでは使えなくなるのが普通だ。
しかしながらiPhone同士で暗号化バックアップを取ると、偶然にも2台のスマホで、同じLINEのアカウントを利用できてしまう。これこそ「クローン」だろう。そのため筆者は「LINEクローン」と呼んだほうが、より正確だと思っている。
この「LINEクローン」は以前から「LINEトークの履歴を機種変更後に保存する方法」として知られていた。LINEでは機種変更すると、トークの履歴が見れなくなるのが普通だ。しかしiTunes暗号化バックアップによる「LINEクローン」なら、LINEを2台のiPhoneで利用でき、結果として履歴もすべて遡ることが可能。「LINEの裏ワザ」として、よく知られていた方法だった。
「LINEクローン」については、LINE公式が1月22日に発表を行っている。
「極めて限定的な状況下にない限り、起こりえません」としながらも、間接的にiPhoneでLINEクローンができることを認めた形だ。脆弱性とまでは言えないまでも、想定していなかった盲点と言えそうだ。
LINE広報によれば、この状況を改善するべく検討中とのこと。いずれLINEクローンはできなくなるだろう(LINEは1月26日にアカウント引き継ぎ方法を変更したが、これは別の問題を解消するためで、今回のLINEクローンとは関係がない)。