今年ははっきり言って当たり年! おもしろいですよ! ちょっと見るだけで十分ですから、ね! 奥さん!
年に一度の楽器の祭典「The 2016 NAMM Show」が1月21日から24日まで、カリフォルニア州アナハイムにて行なわれました。そこで毎年恒例、他媒体のニュースやメーカーのリリース、YouTubeの試奏やインタビューを聞きながら、あたかも見てきたかのごとく書いてしまう「CESの取材ならラスベガスに行けるのになんで俺だけお正月の残り物の餅で作った雑煮を食べながら家でこんなの書いてるのー?」のコーナーです。
とはいえ実際アナハイムへ行けと言われたらろくに英語もしゃべることのできない私ですので、これで十分です。ぜひ新製品紹介のまとめ記事としてお読みください。
さて、まずは直接NAMMとは関係ないフリをしているものの、リリース時期からしてキミたち被せてきましたねという、アメリカ西海岸の巨人の製品から。
コードを弾くと伴奏が付く「Music Memos」
AppleはNAMMのタイミングで新しいアプリをリリースしています。「Music Memos」というiOSアプリで、ピアノやギターでコードを弾いて録音すると、自動でテンポや和音構成を判定し、ベースとドラムの伴奏を付けてくれるというもの。タグを付けて管理することもできるので、ちょっとした曲のアイデアのストックに使えそうです。iOS 9.1以降に対応。無料です。
早速インストールして、エレキギターのクリーントーンで、ピンク・フロイドの「Breathe」風のコード( [Em/A/Asus4]*4/Cmaj7/Bm7/Fmaj7/G/D7#9/B7b9 ←正確にはこうじゃないので、あくまで風)を弾いてみました。結果は以下の通り。
伴奏のリズムはバッチリ合っています。しかしながら「アコースティックギターやピアノ」に最適化されているアプリということもあり、加えて私の演奏が拙いせいもあるのでしょう、ルートを外しているところがあるのは大目に見てください。ほかに合いそうなコードを候補として挙げてくれますので、適宜、置き換えることも可能。代替コードを考えるのに使えるかもしれません。ドラムやベースの伴奏は、GarageBandのバーチャルドラマーのように、音やプレイスタイルも選べます。
ただ、コードの分析ならヤマハの「Chord Tracker」もありますし、カシオの「Chordana Composer」ならコードに落としこむ以前の鼻歌から伴奏を付けられるし、ドラムとベースの伴奏ならDigiTechのストンプボックス「TRIO」がリアルタイムでやってくれるという状況で、Appleが今やる仕事としては、ちょっと雑な感じもしないではありません。今のところは、従来のボイスメモにプラスアルファの機能が付いたものに過ぎません。
いくつか発展の余地が考えられるのは、「メモ」としてギターのカポタストの位置や、ドロップDや半音下げなどレギュラー以外のチューニングを入力できる機能です。これはあくまでも演奏時のメモですが、将来的にカポタストの位置や設定したチューニングに合わせたコードフォームを表示してくるようになると、便利かもしれません。
Music Memosが威力を発揮するのは、iCloud Drive経由で録音ファイルをほかのデバイスと共有できるところです。GarageBand、あるいはLogic Pro Xの音源としてそのまま読み込めるので、Music Memosの録音をもとに曲を膨らませていけます。この先、作曲支援ツールのような方向で進化し始めると、かなりおもしろいものになるような。