1月20日、ドイツ・ハノーバーでIT展示会「CeBIT」のプレビューイベント「CeBIT Preview 2016」が開催された。3月に開催される「CeBIT 2016」に向けて今年の見どころを各国のプレスに公開するイベントだ。
2014年からB2B重視へと大きくリニューアルした新生CeBITも、今年で3年目になる。一般来場者を集めるよりも、業界キーパーソン同士の商談を重視したイベントとして、新たな方向性が定着してくる年になるだろう。
基調講演に「バイオハッキング」
未来は人体へのチップ埋め込みにある
展示会のプレビューイベントといえば、本番の展示会の内容を先取りした無難な内容になるのが一般的だ。だが今回は一味違った。ストックホルムから、「バイオハッキング」企業の創業者が登壇。人体にチップを埋め込む「インプラント」技術を中心に、最先端事情を語り始めたのだ。
NFCチップを人体に埋め込むメリットはどこにあるのか。具体例として、スカンジナビア航空の協力により、NFCチップを埋め込んだ男性が「素手で」飛行機に乗る実験を紹介。チケットもスマホも持たずにゲートを通過できることを実証した。
こうしたインプラントは、生体認証よりむしろ安全なのだという。「指紋や虹彩、音声といった生体情報を、我々は常に世界に向けて公開している。しかし人体に埋め込むインプラントなら、第三者に盗まれる恐れがない」とSjoblad氏はメリットを語る。
まだまだ一般的とはいえない領域だが、何も身に着ける必要のない究極のウェアラブルとして、インプラントの可能性にも注目したい。
CeBIT 2016は3月14日より開催
今年のCeBIT 2016の会期は3月14日から、ドイツ・ハノーバーで開催される。ドイツメッセのCeBIT担当取締役副社長オリバー・フレーゼ氏は、「デジタル化するものはすべてデジタル化する」社会の到来を見据え、CeBITの拡大を宣言。200人以上のスピーカーが登壇する「CeBIT Global Conference」に加え、初日には「Welcome Night」など、新たなネットワーキングイベントを開催することを発表した。
スイスからの出展として目を引いたのが、垂直離発着が可能な無人機「Wingtra」。離発着時はヘリコプターのように垂直でありながら、いったん上昇すると固定翼機のように水平飛行ができる。ソニーモバイルが出資した「エアロセンス」のライバルともいえる。農業や鉱業のあり方を根本的に変える製品として、2016年中の製品化を目指しているという。
他にもCeBIT 2016には世界各国から350のスタートアップが出展する予定。その大多数を「SCALE11」に集結させることで、「欧州No.1のスタートアップ・プラットフォームとして打ち出していく」(フレーゼ氏)との意気込みを語った。
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