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下町工場で作るジンギスカン缶詰が本場も納得の味になる秘密

2015年12月20日 12時00分更新

文● 四本淑三

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缶つま「ジンギスカン風」も試してみる

 比較のためにコンペチターの製品も買ってきました。最近人気の「K&K 缶つま」シリーズにジンギスカンもラインナップされており、北海道民にとってジンギスカンのたれと言えばコレという、ベル食品とのコラボとのことで、ずっと気になっていました。

「K&K 缶つま ラム肉 ジンギスカン風 90g」

ちなみに、これが道民の愛するベル食品の「成吉思汗のたれ」、通称ベルたれ

右の缶つまの内容固形物は45g。左の羽田缶は同100g。レトルトパックを水で浸して封入する必要から、羽田缶は内容量以上に大きく、蓋の形状と材質も違っています。スチール製のダブルセーフティプルトップと、アルミ製のプルトップの違いをご確認ください。小売価格はどちらも400円台

そして缶つまの中身。いい感じでテリが出ていますが、あれっ、ジンギスカンにテリって? という気も

お皿に開けてみました。おつまみなりの容量です

 開けるとちゃんとラムの匂いがします。これも美味そうです。けっこう厚く切った肉が使われております。そして、ちゃんとジンギスカンの味です。ビールのおつまみには大変結構なお味です。なるほど流行るわけだなあ、と。

 ですが、やっぱり缶詰の肉っぽさはあります。レトルトカレーのお肉っぽい食感というか。そして味付けがちょっと濃く、増粘剤で煮こごり風になってしまっているところで、ベルたれのイメージとちょっと違う。ベルたれのサラッとしたフルーティーな風味を期待すると裏切られます。おそらく缶詰っぽくなってしまう風味を、打ち消そうとしたのでしょう。

谷啓製作所の原材料は「羊肉、砂糖、味噌、醤油、食塩、生姜、胡麻、胡椒、玉葱、林檎、酒精、醸造酢、調味料(アミノ酸等)、一部に小麦を含む」。対してK&Kの原材料は「羊肉、しょうゆ(大豆、小麦、食塩)、てん菜糖蜜、砂糖、醸造酢、食塩、たん白加水分解物、たまねぎ、果糖ぶどう糖液糖、発酵調味料、香辛料、にんにく、はちみつ、しょうがエキス、みりん、オニオンエキス、酵母エキス、しょうが、増粘剤(加工でん粉)、調味料(アミノ酸等)、酸味料、カラメル色素、香辛料抽出物」

 一方、タニケイさんはハイブリッド製法のおかげで、無駄に味付けを濃くしなくていいのが美点。ちょっとハイレゾな保存肉とも言えます。ただ、インディーズ食品メーカーなので、スーパーでは売っていないし、通販でまとめ買いが基本。

 とはいえ、1缶あたりのお値段は決して高くはない。近所のスーパーでラム肉を買うと、100g当たり258~278円という価格。食べたいときにすぐ食べられて400円ならば、一部の旺盛なジンギスカン欲を持つ人類には、十分にリーズナブルと言えます。災害時の非常食として備蓄しているのだと思うとさらに安い。

図らずもおいしい缶詰ができてしまった

 そもそも缶詰のメリットは、保存料を使わず長期保存が可能という点にあります。タニケイさんのハイブリッド製法も、当初は決しておいしい缶詰を作ろうとして開発したものではなかったそうです。

 缶詰特有の臭いと、環境ホルモンの溶出を防ぐために、食材をレトルトパックに真空保存し、缶詰にしてみた。そうしたら中の食材が美味しくできてしまったと。つまり保存容器としてのスペックを上げていったら、その途中で中身も美味しくなってしまったわけです。

 このあたりに新しいアイデアを生むための一般的なヒントが隠されているような気がしますが、その成果たるジンギス缶をいくつ食べたところで、凡人の私には何も思いつかないのが悲しいところです。

今まで食べたジンギス缶を意味なく積み上げてみました。缶の内側は白いポリプロピレンフィルムでラミネートされています。従来のフェノール樹脂塗装では環境ホルモンが溶出するので、この仕様にしたそうです。たとえばカニ缶は、食材の変色と缶の腐食を防ぐために硫酸紙で包んでいるそうですが、この缶ならその必要もないのだとか



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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