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下町工場で作るジンギスカン缶詰が本場も納得の味になる秘密

2015年12月20日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 みなさんはジンギスカンの缶詰は好きですか? 私は好きです。ただし「仔羊肉は羽田に限る」。今回はそういうお話です。

 世間では「下町ロケット」というテレビドラマが流行っているそうですが、現実の世界にも「下町カンヅメ」とでも言える製品があります。東京は大田区糀谷、いわゆる羽田の谷啓製作所が開発した「ダブルセーフティプルトップ」です。

 この缶の何がすごいかというと、世界初の「ケガをしない」缶であること。そして、比べる意味はまったくありませんが、下町ロケットよりも先に宇宙へ行っている点です。

 2009年のISS長期滞在で若田さんが持ち込んだ缶詰には、谷啓製作所の缶のフタが使われていました。開缶時に金属の粉が出にくいスチール製であり、もし金属粉が出ても、アルミ缶と違って磁石で回収できるという点も評価されたそうです。

 食品缶といえばプルタブを引くとパカっと開くイージーオープンエンドが主流です。缶切りがなくても開けられるので便利な一方、外れたフタや缶のフチにうっかり触れるとケガをする。私も結構、大好きなツナ缶にしっぺ返しを食らいました。

 これをどうにかしようと考えたのが、谷啓製作所の谷内 啓二社長です。ケガを防ぐには切り口が手に触れないようにすればいい。だったら開けた瞬間にフタのフチがクルッと丸くなる、缶の側の切り口も下に向く、そういう形にすればいいじゃないか。そんな発想と、長年の金属加工の技術と勘で、ケガをしない缶が完成したということです。

 このダブルセーフティプルトップ缶は、コルグの缶入りチューナー「チュナ缶」にも採用され、以前、取材に伺いました(関連記事)。そこでわかったのは、この谷啓製作所、実は缶の中身まで作っている食品会社だったということです。

(次ページでは、「缶の中身にも独自技術が」)

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