コモディティー化したスマートフォン
シャオミも含め、成長は一段落状態
最初にAppleがSamsungを提訴してから4~5年が経過しようとしており、市場をみると特許訴訟自体が少しぼやけてみえる。
当初HTC、Motorola(当時)など多数のスマートフォンベンダーを巻き込んだスマホ特許訴訟合戦は、市場がAppleとSamsungの2強状態が明確になるにつれて終息に向かった。
IDCの第3四半期のベンダー別シェアではSamsungはシェア23.8%でトップ、次いでAppleが13.5%のシェアを取る。3位はHuawei(シェア7.5%)で、Lenovo(同5.3%)、Xiaomi(同5.2%)と続く。Motorola Mobility買収の効果がまだ見えないLenovo、成長率が一段落したXiaomi(今四半期は前年同期比5.6%増で、実は上位5社中最低なのだ)を考えると、トップ2に詰め寄る可能性があるのは、成長率が前年同期比60.9%増のHuaweiぐらいだろうか。
なお、予測値ではあるが2015年のiOSとAppleのシェア合計は97%。Microsoftの後ろ盾があるWindows Phoneですら前年比10%のマイナスで、Androidに代わるOSを目指した「Firefox OS」のMozilla、それに「Sailfish OS」のJollaも戦略見直しを迫られている格好だ。
特許訴訟合戦の終息は主に財務的体力が原因と思われるが、特許そのものについても見直しが進みつつある。以前のようにすぐに認められるというわけではなくなっており、既存のものについても見直しが進んでいるのだ。上述のピンチ操作でのズームの無効化のほか、Appleの意匠特許618677号(iPhoneの外観に関するもの)についても無効化が検討されているとFOSS Patentブログ(関連リンク)のFlorian Mueller氏が記している。
なお、Samsungは米国時間12月14日、最高裁に上訴した。上述の意匠特許にフォーカスして戦う模様だ。
成長国でのスマートフォン市場はここ1~2年がピークで、その後は緩やかに縮小傾向に入るとCSS Insightは予想している。そういえば、スマホ特許に関連して詳細な情報を伝えてくれた上記のMueller氏も、専門としていたソフトウェアやモバイル特許から距離を置くそうだ。6月にドイツ・ミュンヘンにて話したところ、新しいモバイルゲームのベンチャー立ち上げの準備をしていると話してくれた。一つの時代が終わりつつあると感じた。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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