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Apple対Samsung訴訟に明確な勝者なし? 賠償金は1億1900万ドルに

2014年05月06日 10時00分更新

文● 末岡洋子

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 AppleとSamsungの特許訴訟を審理していた米カリフォルニア州西部連邦地方裁判所は5月2日、陪審員による評決としてAppleの特許2件を侵害しているとしてSamsungに対し1億1962万ドルの損害賠償支払いを命じた。これを受け、裁判官が最終決定を下すことになる。この損害賠償金額は、Appleが当初求めてた22億ドルを大きく下回るものとなり、Appleも損害賠償金が命じられたことから単純に勝訴と言い切れない内容となった。

 2社は数々の訴訟を展開しており、米国カリフォルニア州連邦地裁では2012年にSamsungに9億3000万ドルの損害賠償金支払いを命じる裁定が下っている。今回の訴訟は、「GALAXY S3」や「iPhone 5」など前回の訴訟以降にリリースされた端末も対象に含むもので、Appleは5件の自社特許を侵害しているとして、Samsungに対し22億ドルの損害賠償金の支払いと米国での販売禁止を求めていた。対するSamsungは、Appleが2件の特許を侵害していると主張、600万ドルの損害賠償を求めていた。

 陪審員は今回、Appleが主張していた5件の特許のうち2件について侵害を認めた。審理前に判事が侵害と認めていたものとあわせると、合計3件の特許侵害となる。侵害が認められたのは、スライドしてデバイスをアンロックする手法、データタッピング、自動入力補完などのインターフェースの3件の特許で、Siriの検索のためのユニバーサルインターフェース、デバイス間の非同期データ同期の2件については認められなかった。陪審員が下した損害賠償金は1億1962万ドル。これは要求していた金額の1割にも満たない金額である。販売差し止めについては判事の決定を待つことになる。

 一方、Samsungの要求についてはAppleが侵害しているとする2件の特許のうち1件を認めた。侵害と認められたのはデジタルイメージと音声の記録再生で、認められなかったのは動画伝送に関する特許。これらはともに標準必須特許(SEP)ではない。Samsungは損害賠償600万ドルを求めていたが、15万8400万ドルと命じられた。

 今回の審理ではハードウェアの外観からソフトウェアが中心に移行しており、大きなポイントはGoogleの関与だろう。たとえば、GoogleとSamsungの間でSamsung敗訴の場合、法的コストの一部をGoogleが肩代わりするという約束を、2012年に交わしていたことがAppleにより明らかになっている。

 SamsungとAppleはともにスマートフォンで大きなシェアを占めており、第1四半期のシェアはSamsungが30%、Appleが15%(IDC調べ)。だが両社はともに、前年同期と比べるとシェア値を落としている。

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