日本HPは、12型タブレット「HP Elite x2 1012 G1」を、2016年2月下旬に発売すると発表した(『ワコムAESペン付属で2048段階の筆圧感知 - 9万9800円の12型タブ「HP Elite x2 1012 G1」が公開』参照)。約8.05mmの薄さ、重量約820gという“薄軽”タイプで、本体背面に搭載したキックスタンドで自由な角度に立たせて利用することが可能。また、カバーとしても利用できるバックライト付きキーボード「HP Travel Keyboard」(オプション)を使うことで、ノートPCのようにも活用できる。
さらに、「HP アドバンスド無線 ドッキングステーション」(オプション)と接続して、デスクトップのようにも使えることから、同社では「3in1」という使い方が提案できるとしている。HP アジアパシフィック&ジャパンのパーソナルシステムズビジネス バイスプレジデント&ゼネラルマネジャーであるアネリーズ・オリソン氏にその狙いなどを聞いた。
日本のユーザーは、電車で移動し、そこでも仕事をする。
そうした環境における優れたデザイン、セキュリティ、プラチナバンド対応が求められた
—「HP Elite x2 1012 G1」はどんな狙いから生まれた製品ですか?
オリソン 世界各国において、仕事を取り巻く環境が大きく変化しています。その中で、労働人口の変化というのは見過ごせない要素です。たとえば、米国では、ミレニアム世代が台頭し、2020年の労働人口の半分がこの世代となります。この世代の特徴は、デジタルネイティブであり、デジタルツールを活用してどんな場所でも仕事をするという意識を持っている点ではないでしょうか。
HPには、これに応えられる「One Life」というビジョンがあります。コンシューマでの利用と、コマーシャル(法人用途)での利用との線引きが難しくなり、ひとつの人生の中でどう活用するかという提案をしていく必要があります。我々は、コンシューマ向け製品、法人向け製品のいずれにおいてもモノづくりの経験があるため、こうした経験は強みになると考えています。
またHPにとって、日本は大変重要な市場です。日本のユーザーは、オフィスの中で使用するだけでなく、さらに電車で移動し、そこでも利用する。そうした環境に向けて、軽量・薄型で、優れたデザインの製品を投入していくことが求められていました。
当然、こうした利用環境ではセキュリティも重要視されることになります。企業の知的財産を保護し、個人の情報漏洩を防止しなくてはなりません。今回の「HP Elite x2 1012 G1」では、こうした市場の変化や市場の要望を捉えて開発した製品で、我々が提案する「価値」の姿を表現したものになります。
デバイスそのものの価値も重要ですが、ソリューション、接続性は大変重要です。移動が多い保険の営業担当者が、セキュアな環境で利用できれば、一度オフィスに戻って入力するといった作業を行なわずに済み、生産性を高められます。
今回、発表したHP Elite x2 1012 G1のような製品は、これまでのノートPC、モバイルPCを置き換えていくことになると考えています。
―HP Elite x2 1012 G1は、日本のユーザーに対して、どんな点で魅力を発揮できると考えていますか?
オリソン やはり、一番の強みはセキュリティです。HP Elite x2 1012 G1は、コンシューマ製品をベースに何かを強化するというモノづくりではなく、法人市場で求められる仕様を徹底的に追求して製品化したものです。
たとえば、過酷な環境でも耐えうる仕様を実現し、米軍の調達基準である「MIL-STD-810G」のテストをクリアしたこともそのひとつです。キックスタンド開閉(1万回、5年間利用相当)、91cm落下(キックスタンド開時・閉時)など、5万項目11万5000時間の過酷試験「HPトータルテスト」も別途実施しています。
タブレットの背面に指紋認証リーダーを搭載しており、これもセキュアな環境の実現につながっていますし、ウイルスが入ってきたときにもBIOSを保護し、新たにリスタートするといった機能も搭載しています。また、ネットワークから離れているときでも管理が可能であり、IT部門にとっても管理性が高いものになっています。
特に日本では、NTTドコモとKDDIとの提携により、3G、4G、LTEをサポートし、Wi-FiやWiGig以外にも対応できるようにしました。日本のユーザーの声を聞くと、プラチナバンドをサポートしてほしいという声が多く、接続性を重視することにも力を注ぎました。
そしてサービス性という点でも、HP Elite x2 1012 G1は大きな特徴を備えています。背面カバーを取り外すと、グラフィックカードやバッテリーなど、9つの部品に分かれており、これを自ら取り替えることができます。データが格納されたままではPCやタブレットを修理に出したくない企業に対してメリットがありますし、何か起こったときにすぐに自分で修理ができるという利便性もあります。これらの機能は、長年に渡る法人向けPCの開発実績と、ユーザーから得た声をもとに実現したものです。また、コンシューマ向けの「HP Spectre x2」での経験もここに反映させることができました。
日本の市場は、アジアでは最大の市場です。日本のユーザーからの声を数多く聞き、それを反映して、必要なソリューションを提供したいと考えています。
—HP Elite x2 1012 G1で最初に目指すゴールは?
オリソン 法人向け市場におけるナンバーワン2in1 PCを目指します。「HP Elite x2 1012 G1」は、「3in1」という言い方をしていますが、3in1も、2in1に含まれますからね(笑)。この分野は最も成長していますし、我々はここに投資をし、リーダー的存在になりたいと考えています。また、コンシューマ分野の製品についても、2in1市場ではトップシェアを狙っていきます。