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業界人の《ことば》から 第174回

戦略は「顧客体験価値の最大化」

4Kで需要は回復しない、ソニーがテレビを再定義する

2015年12月12日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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ハイレゾの普及は、新たな段階に突入した

 デジタルカメラも同様だ。ここでは、ソニーが持つイメージセンサーの強みから、顧客体験価値の最大化を図る。高感度、高解像度、そして読み出し速度の速さを活かして、暗所での鮮明な撮影や決定的瞬間を捉えた映像など、これまでのカメラでは撮影できなかったような画像を楽しむことができることを訴える。

 「カメラメーカーとして独自のポジションを獲得するためには、ソニーが内製化しているイメージセンサーが欠かせない。イメージセンサーの強みが、ソニーのデジカメの強みにつながる」と位置づける。

 そしてオーディオ分野では、ハイレゾオーディオの切り口から、顧客体験価値を提案する。スマホで音楽を聴くといったように、音楽を聞くスタイルがコモディティ化するなかで、より高音質で音楽を楽しみたいという人たちに提案するのがハイレゾオーディオとなるからだ。

 ここではハイレゾに対応したウォークマンが切り札となるが、それに加えて、ハイレゾに対応したヘッドフォン、ヘッドフォンアンプ、スピーカーの売れ行きが好調で、「オーディオビジネスが前年実績を上回っている。ハイレゾ関連商品の累計出荷台数は100万台に到達し、moraのハイレゾ配信曲数は約20万曲となった。ハイレゾオーディオの普及は新たな段階に突入したと考えており、これまでのオーディオファンを中心とした提案から、情報感度の高い若者層や、流行り待ち層といった領域にもターゲットユーザーを拡大していく」という。

 アーティストがハイレゾ楽曲や新曲をリリースしたのにあわせて、ハードウェアが売れるという傾向がみられており、これもハイレゾオーディオが新たな需要層へと広がっている証のひとつだといえよう。

 年末商戦において、ソニーマーケティングが仕掛ける顧客体験価値の最大化は、需要が低迷する市場においてどんな成果をあげることができるのか。ソニーマーケティングにとっても大きな挑戦だ。

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