ECSさんに「油没させてみてもいい? LIVA Coreに搭載されているCore M-5Y10cでどれくらいの油が必要か知りたいの!」という、とてもストレートなお願いしたら「ウフフOK~!」と快諾をいただいたので、第3回は油没である。
おさらいとして、ASCII.jpでは、すでにスティックPCのひとつインテル「Compute Stick」(型番:CSTK-32W)を油没させており、1000円以内で強烈に冷却できることを確認している。
いずれはCore M搭載のスティックPCが登場すると思われるが、その前にLIVA Coreで試してみたい。少なめの油で動作するのであれば、ローコストでよく冷えた状態で無音動作する、夢のLIVA Coreも実現できるわけだ。
まずカタログスペックで、「Atom Z3735F」と「Core M-5Y10c」のSDP(Scenario Design Power:現実的なシナリオを想定した消費電力)とTDP(Thermal Design Power:設計上想定されている最大消費電力)を見てみよう。
プロセッサーの消費電力 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
プロセッサー | SDP | TDP | ||||
Atom Z3735F | 2.2W | 非公開 | ||||
Core M-5Y10c | 3.5W | 4.5W |
以上のようにCore M-5Y10cのほうが当然熱い。また、Core M-5Y10cのコンフィグラブルTDP-up(ハイパワーで使用する場合のTDP)は6Wなので、油1リットルでは厳しい可能性がある。
また将来的にスティックPCに搭載されそうな「Core m3-6Y30」はカタログスペックでTDP 4.5W、コンフィグラブルTDP-up 7W、コンフィグラブルTDP-down 3.8Wとあり、Atom Z3735Fよりも熱との格闘が激しそうな気配がある。
「Compute Stickを油風呂に漬けて冷却してみた」の記事を読んで、Core M版でトライしてみようと考えた人にもちょうどいい情報になるはずだ。
Compute Stickでは、約900gの油を使用した。容器はダイソーで購入した1リットルのガラス瓶。Compute Stickの小ささもあってケーブルマネージメントも問題なかった。
しかし、LIVA Coreの基板は75×110mmで、インターフェースも長辺側にあるため、ビンに押し込むのはあまり現実的ではない。
油の量も増やす必要があるため、今回は水槽を探してみた。SDPからすると、2.5倍くらいの油があればいいと直感で思い、約4リットルの水作社製「グラスガーデンR180」を購入した。サイズは180×120×220mmだ。
油はすでに実績のある日清キャノーラを採用。キロ単価の安さが決め手であり、また前回のCompute Stickは2ヵ月ほど様子を見ているが、いまだ酸化が進んでいないため、3ヵ月くらいは行けるだろうという判断もある。
予算があればフロリナートを投入したいところだが……ハイエンドのビデオカードが買えちゃう額になるので、食用油万歳だ。ちなみにトータルの費用は2700円ほど。
基板を吊す作戦
基板を中空に浮かせるには、HDMIケーブルとUSBケーブル、そして電源ケーブルだけでも十分そうだったが、ケーブルの状態によって基板が妙に動くのが気になったので、ネジ穴を利用して釣り糸で吊した。
釣り糸は水槽側面に吸盤フックを取り付けて、そこにテープ止め。写真のようにお手軽なわりに、イイ感じの吊るし具合である。
さて、LIVA CoreはUSB 3.0×4を備えているため、油没させた状態になるとそれらを活用できなくなってしまう。そこで今回は油没Compute Stick 2015 SEでも採用したUSBハブプランを採用。
編集部に転がっていたサンワサプライ製USBハブ「USB-HUB256BK」で、マウスやキーボードを接続することにした。
USB 2.0接続になってしまうのは残念だが、「USB-HUB256BK」は10ポートのハブで外部電源にも対応する。充電ターミナルにもなるからOKとした。
あっさりと下準備が完了した。天板部に隙間のある水槽であり、またスペースもあるため、作業しやすい点が大きいといえるだろう。
また水槽も180×120×220mmとコンパクトなので、油没させない状態でもけっこう見栄えが良く、これはこれでアリだ。
(→次ページヘ続く 「もりもりとキャノーラ油を注ぐ!!」)
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