通信事業者/データセンター/エンタープライズ向けの4機能を1Uに統合
NWセキュリティにも高性能を、A10が「Thunder CFW」を発表
2015年12月08日 08時00分更新
A10ネットワークスは12月7日、同社アプリケーションサービスゲートウェイシリーズの新製品となる「Thunder Convergent FireWall(Thunder CFW)」を国内発表した。通信事業者/データセンター/エンタープライズの各領域で求められる各種セキュリティ機能を1U筐体に統合した、ハイパフォーマンスなゲートウェイセキュリティ製品。
1Uで150Gbps以上のスループット、4種類の機能を統合
Thunder CFWは、1Uサイズの筐体に、A10の独自OSである「ACOS Harmonyプラットフォーム」と4種類のゲートウェイセキュリティ機能を統合した製品。全機能のライセンスがパッケージされており、顧客は要件に応じて機能を組み合わせ使用できる。
製品の国内発売は来年(2016年)第1四半期の予定(価格は未定)。
A10ネットワークス ビジネス開発本部 マーケティング部 部長 兼 エバンジェリストの高木真吾氏は、顧客のタイプに合わせたThunder CFWのソリューション例を説明した。
まず、モバイルトラフィックの大容量化と加入者のセキュリティ保護が課題になっているモバイル通信事業者向けには、「キャリアグレードNAT(CGNAT)」に加えて「Gi/SGiファイアウォール」や「DDoS防御」といった機能を提供する。こうした複数機能を単一の筐体で提供できる点もポイントで、データセンタースペースの節減のほか遅延の発生も防ぐ。
データセンターネットワーク向けには、DDoS防御に加えて、ADCと統合されたステートフルファイアウォール/ALG(Application Layer Gateway)が提供できる。
さらに、データセンター間のハイパフォーマンスなIPsec VPN通信も可能だ。高木氏によると、今年のInterop Tokyoにおけるデモ展示では、1Uで140GbpsオーバーのIPsec VPNトラフィックを処理していたという。
“常時SSL”化の進むエンタープライズネットワーク向けには、URLフィルタリングやプロキシといった機能に加えて「SSLインサイト」機能を提供する。
SSLインサイトは、内部ネットワークからのSSLトラフィックを復号して可視化する。それと同時に、復号した平文トラフィックをそのまま他のゲートウェイセキュリティ(アンチウイルス/サンドボックス、次世代ファイアウォール、IPSなど)にも渡し、セキュリティ検査を経たうえでトラフィックを再び受け取り、再暗号化(SSL化)してインターネットに流す仕組み。
つまり、処理負荷の高い復号/再暗号化処理をThunder CFWにオフロードすることで、他のセキュリティ製品は本来のパフォーマンスを発揮することができ、システム全体としての処理効率を高めることができるわけだ。
Thunderシリーズの“省スペース/ハイパフォーマンス”を受け継ぐ
米A10の創業者 兼 CEOであるリー・チェン氏は、「モバイルトラフィックの増大」「Webサイトにおける“常時SSL”化の浸透」「アプリケーションのクラウド移行」といった背景変化から、セキュリティにも高いパフォーマンス性能が求められるようになっていると指摘。そこでThunder CFWを投入すると語った。
なお、Thunder CFWについてチェン氏は、「当初はアプライアンスのみの提供だが、将来的には汎用サーバーで稼働するソフトウェアでも提供する」と語った。また、CFWに搭載するセキュリティ機能も、現在の4種類から順次拡充していく方針。
また高木氏は、Thunder CFWには、既存の「Thunder ADC」や「Thunder CGN」のすべての機能、また「Thunder TPS」についても一部の機能が取り込まれていると説明した。2016年第2四半期には、集中管理システムの「aGalaxy」にも対応する予定だという。