絵文字を発明したのは日本だけれども
絵文字の歴史は、英語のドキュメントでも1990年代の日本が発祥であるという記述を見つけることができます。
ただ、実際に国際標準化を進めたのはiPhoneを擁していたAppleと、Androidを開発するGoogleでした。そして世界の人々を絵文字に振り向かせたのも、iPhoneだったといえるでしょう。
iPhone 3Gが日本で発売され、ソフトバンク系の絵文字が収録されていた頃、アメリカのApp Storeには端末の言語を日本語に設定しなくても、絵文字キーボードの封印を解くことができるアプリが配信されており、iPhoneが絵文字を世界共通言語として押し上げました。今日ではTwitterでもInstagramでも、絵文字を使ったコメントを多数見つけることができます。
そしてついには、今年を代表する英単語として絵文字が選ばれるまでになりました。もう、誰が広めたかという経緯はどうでも良く、10代の頃から使っていたものが世界の人々に愛されること自体に感慨もひとしおです。
多分、次はウェアラブルで、「音」?
絵文字は、テキスト中心のモバイルコミュニケーションに対して、非常にうまく受け入れられました。日本で絵文字が登場してすでに15年以上が過ぎていますが、次に世界中のモバイルコミュニケーションで受け入れられるものは何でしょうか。
再び、15年前のケータイを思い出してみて、我々が熱狂的に使っていたものが再び、形を変えてグローバルで流行るんじゃないか。そんな「ケータイ・タイムマシン理論」は筆者の持論でもあります。
現在のモバイルコミュニケーションで絵文字が受け入れられた。デバイスやメディアをそれぞれ1つ進めると、次はウェアラブルデバイスでのコミュニケーション、ということになります。そして、絵文字とともにケータイで楽しんでいたモノ。それは音でした。着メロ、着うたなど、音質などは問題ではなく、ケータイからいろいろな音が出てきて、それが自分のケータイだという主張になっていたのです。
その点、日本はサウンドロゴについては競争力がある国だとも思います。たとえばウェアラブル向けに、いろいろな音を使ってコミュニケーションが取れるアプリが登場してくると、今度は音が辞書に載る未来も訪れるのではないでしょうか。
割と本気でそう思っているので、興味のあるアプリ開発者の方、ぜひコンタクトください。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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