11月9日、NECはIoTソリューションを支えるICTプラットフォームの製品と体制の強化を発表。2016年度中にIoT関連技術の開発要員を1000名に増員するとともに、製品強化の第一弾として、高集積サーバー「DX2000」や遠隔のコンピューターリソースを高速な通信で接続する「ExpEther 40G」、IoTデバイスのリモートソフトウェア「Collaboration Assistant」などを投入した。
IoT関連事業で2020年までに3000億円を目指す
NECは2015年6月にIoTを活用した次世代ものづくりソリューション「NEC Industrial IoT」を発表すると共に、7月にもメニューと体制の拡充を発表し、IoT分野での製品・サービスを拡充している。「従来つながりがなかったモノ・コト同士が容易につながり、クラウドをプラットフォームにより進化していく。こうしたIoT市場の拡大に向け、NECはIoTのシステムプラットフォーム事業を飛躍的に進化させていく」とNEC 執行役員常務 庄司信一氏は語る。
JEITAは、2020年につながるデバイス数が1兆を超え、世界需要の見通しも308兆円という規模に膨らむと見込んでいる。NECもこうしたIoTの市場に対して積極的にソリューションを展開し、2020年にIoT関連事業で3000億円を目指すという。
NECは同社が定義するIoTの5層モデルをベースに、リアルタイム・高精度なデータ分析、分散協調型処理、デバイス仮想化、セキュリティ、統合運用管理などを重点的に強化していく。今回はこうしたIoT関連製品の開発体制を拡充すべく、現在約300名の製品開発技術者を2016年度に1000名に増強することを発表した。
続いて登壇したNEC 執行役員の福田公彦氏は、IoT時代においては収集したデータに対して一次処理を行なうことでシステムの負荷を下げる「エッジコンピューティング」が重要になるとアピール。クラウド側にデータ処理を集中させるのではなく、エッジ側に分散させることで、大量データの処理で起こりがちな時間の制約を打破。ナレッジベースのリアルタイム処理を実現し、システム適応範囲を拡大する必要が出てくるという。
また、複数のアプリケーションが適材適所で分散的に処理することで、動的に変化する負荷に分散的に動作する「分散協調型処理」も重要だという。データの特性やネットワーク状態に応じて、アプリケーションが最適な場所で動作できるように分散処理するプラットフォームが必要になってくる。
さらにデバイスのネットワーク層でのセキュリティ、5層に渡るプラットフォーム全体の統合管理、複数のクラウド環境下で連携動作する共通プラットフォームや高速な分析を支えるサーバー・ネットワーク製品が重要になると説明した。「クラウドからデバイスまで総合的に理解しているのがNECの強み。(IoTの展開において)具体的になにが必要なのかを理解している」と福田氏は説明する。
IoT市場に向けたプラットフォーム製品を強化
続いて福田氏から新製品の詳細が説明された。高速な分析処理を実現するモジュラー型サーバー「DX2000」。3Uのラックマウント筐体にXeon-D搭載の44台のサーバーを集約でき、インメモリでの分析処理に適した構造を採用する。従来システムで数時間かかっていた分析を数秒~数分で実行可能。最新のHadoopを検証事務で提供し、導入期間も半分に抑えられるという。
2017年度に発売予定のベクトル型スーパーコンピューターについても言及。次期スーパーコンピューターとして開発意向表明されているもので、メモリ帯域がボトルネックとなるアプリケーションを高速に実行可能。現行モデルに比べ、ラックあたりで10倍、システム最大性能で100倍の性能で実現できるとのこと。さらにベクトル化コンパイラを提供することで、専門知識なしでアプリケーションの高速化を可能にするという。
また、ExpEther 40GはI/Oをリモート接続するシステム。ExpEtherボードとI/O拡張ユニットから構成され、PCI Express Gen3に接続した処理エンジンをEthernetで共有することで、筐体や電源等の物理制約を受けずにコンピューターリソースをスケールアップできる。加えて、高速な軽量暗号「TWINE」の採用により、データ量の増加に応じて高いセキュリティを確保するという。
さらに、Collaboration Assistantは、Android端末を経由し、仮想的に遠隔のデバイスを直結するクラウドサービス。Android端末とクラウドを介して、現場情報を共有できるほか、収集したデータを残さないことでセキュリティリスクを低減する。これにより、熟練技術者の現場への移動が不要になり、作業品質と業務効率を向上することが可能になるという。