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7つの社会価値創造テーマと、それを支えるNECのICT技術を披露

社会ソリューション分野に注力するNEC、遠藤社長が講演

2014年11月21日 09時00分更新

文● 大河原克行

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 NECは、11月20日、21日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて、同社のプライベートイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2014」を開催。初日となる11月20日午前10時から、NECの遠藤信博社長が、「Orchestrating a brighter world~世界の想いを、未来へつなげる」をテーマに基調講演を行った。

NECの遠藤信博社長

ICTを通じて7つの社会価値を創造する

 「Orchestrating a brighter world」は、今年に入ってから同社が積極的に打ち出しはじめた社会ソリューション事業のメッセージだ。基調講演においても、同社が中期経営計画の軸に掲げる同事業への取り組みが話題の中心となった。

 遠藤社長は、35年後の2050年には、エネルギー需要が現在の1.8倍、温室効果ガスが1.5倍、食糧需要が1.7倍、水需要が1.6倍になること、全体人口は1.3倍の増加に留まる一方で都市人口は1.8倍の63億人に拡大すること、といった予測に振れながら、次のように切り出した。

 「(2050年の)地球は、現在のほぼ2倍の要求に対応する必要が出てくる。効率的なインフラを活用し、限りある資源を生かさなくてはならない。一方で、少子化が進む日本は、現在の60%の人口で支えられる効率的なインフラが必要になる。そこに我々のICTがどう貢献できるかが鍵である。安全、安心、効率、公平をICTで実現した新たな社会基盤が求められている」(遠藤社長)

 NECでは、社会価値創造のテーマとして「Sustainable Earth」「Safer Cities & Public Services」「Lifeline Infrastructure」「Communication」「Industry Eco-System」「Work Style」「Quality of Life」の7つを掲げ、「安全」「安心」「効率」「公平」という価値が実現された社会を目指す方針を示している。

NECが掲げる7つの社会価値創造テーマ

 また、ICTが生み出す価値の源泉として「リアルタイム」「ダイナミック」「リモート」の3つを挙げ、「安心、安全、効率、公平を実現する核になるのがこの3つ。この3つの源泉が組み合わせることで、いままで想像できなかった新たな価値が生まれる」と説明した。

ICTが生み出す価値の源泉は3つ

 「たとえばクルマのさまざまな状態をセンシングし、リアルタイムに処理する。地図や天候、渋滞、事故などの情報から広域のクルマの流れを予測し、制御することで自動運転が実現する。これはロボットも同じ。ロボットの中ですべてを制御、処理する必要はなく、センサーデータはすべてサーバー側に送って処理し、判断した結果を送り返せばよい。3Dプリンターは、単に3Dの造形物が作れるというだけでなく、『脳』と『動作』を分離できる点が特徴。ドイツに情報を送るだけで、ドイツでモノが製造できる。トランスポーテーションフリーになるという大きな革命を起こすことになる。遠隔地で人工心臓を作ることもできる」

 そして遠藤社長は、リアルタイム、ダイナミック、リモートという3つの価値の源泉は「技術によって支えられている」と述べ、さらに詳しく説明した。

 「リアルタイム」、つまり情報を即時に処理するとともに、状況を即時に理解し判断すること、次に起こり得る状況を予測することができるようになった背景には、20年間で約500倍も向上したCPU性能や、約57万倍に向上したシステム性能がある。「ここでは、大量のデータを収集するだけでなく、それを基に『予測をすること』が大切である」。

 離れた場所で情報を自由にやりとりし、人やモノが移動する必要をなくし、場所による不平等や不公平がなくなる「リモート」を支えるのは、10年間で20倍に拡大した光海底ケーブルの伝送容量や、10倍も浸透したモバイルブロードバンド、世界人口の95.5%に達するモバイルデバイスの出荷台数などである。

 また「ダイナミック」では、IPアドレスを持つ電子機器が2012年の43億台から2020年には99億台に、間接的に“つながる”電子機器は98億台から191億台に倍増すること、IoTの世界需要見通しは167兆円から308兆円に拡大すること、また情報量も2013年の4.4兆GBから2020年には10倍の44兆GBになることなどを挙げた。「世界には数多くのデータがあるものの、そのうちの5%しか使われていないという状況にある。だが、こうしたデータを活用することで、複雑な状況変化に、即時かつ動的に対応できるようになる」。

 この「ダイナミック」を支えるのは、データサイエンスの進化だという。遠藤社長は、「ビッグデータの世界には、データが大量に集まることから生まれる価値と、蓄積された大量のデータから生まれる価値がある」と述べ、それぞれの例を示した。

 たとえば自動車のワイパーのオン/オフ、走るスピードのデータは、単独ではそれそのものの意味しか持たない情報(明示知)だ。だが、多種/大量の情報を集め、組み合わせることで、現在どこでどんな天気がが予測できる、新たな情報(暗黙知)を導き出すことができる。「これがビッグデータの面白いところだ」。

多種大量の情報を集めることで、それぞれ単独の情報からは見えてこなかった新たな意味を導き出すことができる

 一方、蓄積データから生まれる価値の例として遠藤社長は「コンピューター棋士」を挙げた。最近では、将棋の高段者がコンピュータに負けるようになったが、これは大量の棋譜(過去の対局履歴)をすべてコンピューターの中に置き、盤上と照らし合わせながら、瞬時に最適な答えを出せるようになったからだ。つまり、演繹的な方法から帰納法へと移行したことで大きな変化があったわけだ。「ビッグデータにより、圧倒的な知識量と経験を生かし、(このほかにも)名医に近づいた医療ができるといった活用につなげることができる」。

ビッグデータ技術により、帰納的アプローチが高速に実現できるようになった

(→次ページ、価値創造を支える4つのICT技術をデモを交え紹介

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