安価な“ベアメタルSDN”ソリューションを開発し、広範な企業にSDNを普及させようと目論む新興企業、米ビッグスイッチネットワークス。「OpenStack Summit Tokyo」に合わせ来日したCEOのダグラス・マレー(Douglas Murray)氏に、あらためてその狙いやSDNソリューションの最新版について聞いた。
メインフレームならぬ“ネットフレーム”を打ち破れ!
ビッグスイッチは、安価なベアメタルスイッチ向けのネットワークOS「Switch Light OS」と、独自のSDNコントローラーを組み合わせた“ベアメタルSDN”ソリューションを開発している企業だ。2010年にスタンフォード大学のSDN研究チームを母体として設立され、現在はリーフ/スパイン型のファブリックである「Big Cloud Fabric」、およびネットワークモニタリング「Big Monitoring Fabric」という、データセンター向けのSDNソフトウェアソリューションを提供している。
ビッグスイッチの目標を端的に言うと、「グーグルやフェイスブックのようなハイパースケール企業が利用するSDN/ネットワーク管理技術のエッセンスを、より広範な、一般的な企業にも提供すること」だ。
マレー氏は、ネットワークの世界はこの5年間で、それ以前の20年よりも急速なイノベーションを遂げつつあると語る。その「イノベーション」は、コンピューター/サーバー市場がこれまで遂げてきた変革と似ている、というのが同氏の主張だ。垂直統合型のメインフレームが、オープンなx86アーキテクチャに取って代わられ、チップ/ハードウェア/ソフトウェアのスタックが「分離」したことで、現在では顧客が自由にハードウェア/ソフトウェアを選ぶことができる。顧客が「選択肢」を手にしたことで、市場では価格競争やイノベーション競争が進んだ。
一方で、ネットワークの世界はこの動きに乗り遅れたと、マレー氏は指摘する。現在でも、チップ/ハードウェア/ソフトウェアがすべて同じベンダーから提供される、メインフレームのような“ネットフレーム”が主流だとマレー氏。ビッグスイッチでは、ここにくさびを打ち込もうとしている。
ビッグスイッチのSDNソリューションは、安価なだけではなく「シンプルさで顧客の評価が高い」とマレー氏は語る。“ネットフレーム”のファブリック製品と比較した第三者評価では、セットアップと導入は10倍速く、調査やトラブルシューティングは12倍効率的だったという。一方で、導入/運用にかかる総コストは半分以下だ。