Netflixが視聴者に「自由と選択」を与える
ー 現状、日本の多くの人が「テレビはタダで見られるもの」という認識でいると思います。
「月額650円〜という体験しやすい価格ですから、日本の方も『広告なしでコンテンツを楽しむこと』を受け入れてくれると信じています」
ー 他国ではどの料金プランが人気なのでしょうか。
「多くの方はミドルプランを選んでいるとは思いますが、プランはいつでも自由に上げ下げできます。フレキシブルな分、なんとも言えませんね」
ー Netflixは、テレビとの新しい付き合い方を与えてくれるものだと思います。リードCEOは、テレビ放送の現状をどのようにとらえていますか。日本には「若者のテレビ離れ」といったトピックもあります。
「『自由と選択』。これは、世界中の誰もが惹かれる権利ではないでしょうか。朝でも夜中でも、スマホでもテレビでも、自由にいつでも見られる。そして、見たいものを選べる。地上波など既存のテレビは、一つの選択肢しか与えられていないわけです。
インターネットはテレビに大きな進化をもたらしました。ネットなら、それぞれのテレビに一番合った形(エンコーディング)でコンテンツを届けることができるのです。
固定電話と携帯電話がいい例ではないでしょうか? 固定電話だって、20世紀には素晴らしいものだった。けれど携帯電話が登場して、今やほとんどの人が携帯電話でコミュニケーションを取っている。実に20年がかりの革命でした。地上波放送がインターネットに変わる、特にBBCやHBOはオンライン上で多く見られています。この動きは、世界中で起こるでしょう。YouTubeだってそうですよね。
ー 「自由と選択」こそ、Netflixの強みなのですね。
「『自由と選択』に、クリエイターの方も惹かれるのだと思います。その結果、ウォシャウスキー姉弟のドラマ「センス8」の配信や、話題作の「火花」の映像化権を獲得でき、コンテンツを充実させることができる。
吉本興業または又吉さんには多くのオファーがあったかと思います。しかし、Netflixが世界中の方々に『自由と選択』を提供できるというところを見込んでくださった。そのように思います」
リードCEOが見据える、Netflixとテレビの未来
ー Netflixにおける、10年、20年後のビジョンを教えてください。
「テレビは、大きなタブレットのようになるんじゃないかなと考えています。その中には、NetflixやNHKなどそれぞれのアプリがあり、オリンピック、それからFIFAのアプリもあるかもしれませんね。8Kでサッカーを見る日も来るでしょう。
アプリを用意することで、テレビのネットワークも構築できます。ですから多くの新しい競合他社が登場するでしょうし、そうなればNetflixはこれまでとはまったく異なる映像コンテンツを届けることになるかもしれませんね」
ー 今後、ローンチを検討している国はありますか。
「実は来年中に、全世界でNetflixのサービスを開始させたいと考えています。YouTubeのようにね。それぞれの国で、独自作品も作りたいと思っていますよ」