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バランス接続や11.2MHz DSD再生を手が届く価格帯で

パイオニア、D級2chアンプに3年ぶり新機種「A-70A」など

2015年09月03日 13時00分更新

文● 小林 久/ASCII.jp

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A-70DA:A-70Aをベースに11.2MHzのDSD再生にも対応

 A-70DAは、A-70Aに、11.2MHzのDSDや384kHz/32bitのPCMに対応したESS Technology社の「ES9016S」を搭載したもの。従来機種はES9011Sを搭載し、192kHz/24bitのPCMまでの対応だったため、対応フォーマットが増えた形となる。パソコンと接続するUSB DAC機能に加え、192kHz/24bitまでの光・同軸入力端子も備える。特に新規に追加された光デジタル入力は、テレビをはじめとした各種AV機器との連携に便利だろう。

A-70DAが搭載するDAC回路のブロックの回路基板。

ESS TechnologyのES9016Sを搭載。

 本体サイズは幅436×奥行き370×高さ141.5mmで、重量は18.3kg。

A-50DA:より手軽にハイレゾ再生に対応できるモデル

 下位のA-50DAは、よりシンプルな構成でハイレゾを楽しみたい層に向けた製品。バランス入力は省略されるが、上位と同等性能のD級アンプ用ICを搭載している。ただし使用する周辺パーツの違いや、フォノイコがMMカートリッジのみの対応、電源がプリ部とパワー部で兼用になる点などが異なる(巻き線は独立させ干渉に配慮)。ES9016Sを内蔵し、11.2MHzのDSDや384kHz/32bitのPCMの再生もできる。

 またパイオニア製のN-70A/N-50Aなどと組み合わせた際に、「ControlApp」で音量調整などが可能になる点も便利なポイントだ。

 本体サイズは幅436×奥行き368×高さ138.5mmで、重量は11.1kg。

デジタルアンプならではのキレがよいサウンドが魅力

 PMW信号を入力し、スイッチング電源で駆動するD級アンプはデジタルアンプとも呼ばれ、電力効率の良さが求められるポータブル機器やミニコンポだけでなく、単品コンポでも一時期もてはやされた。しかし10年ほどたった現在、国内のHi-Fiアンプ、特に高級価格帯の製品での採用例はほとんど見かけなくなっている。

オーソドックスながらつまみが大型化し、デザインもより精悍なイメージとなった。

 駆動力が高く、キレのいいサウンドが実現できる反面、残留ノイズが高くなったり、周辺部品の変更がシビアに音に影響するため、設計が難しいのだという。そんな中、パイオニアは年月をかけて蓄積したノウハウを生かし、継続してD級アンプの開発に注力していくとのこと。従来機種のA-70は欧州を中心に高い支持を受けた。オンキヨーとパイオニアの統合後も、エッジの効いたブランドの特徴として、Hi-Fiステレオアンプでも積極的にD級アンプを採用していくとのことだ。

 今回、A-70AにN-70AとS-1EXを組み合わせた構成で、ハイレゾ音源を中心に試聴する機会があった。全体を通して、低域の存在感があり、音像が前に出てくるような力強さがあるという印象。加えて、ボーカルの艶やかさなどニュアンスの表現にも魅力を感じた。デジタルアンプというと、タイトな低域や音の立ち上がりの速さなどが特徴だが、出始めの機種では、少し音がやせたり、質感の表現の物足りなさを感じるケースも少なくなかった。

 本機は単にタイトであるだけでなく低域には音の太さを感じ、個々の音は分離がよく明瞭。より広い音場と明確な定位を求めたい面もあるが、質感の描写が巧みで、生々しくニュアンス豊富な再生音を奏でていた。

 中級価格帯の製品であるが、ハイエンドのスピーカーとの組み合わせでもそん色ないパフォーマンスが得られる実力の高いアンプなのだろう。

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