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価格5万円台のフルサイズアンプ

パイオニア6年ぶりの入門Hi-Fiアンプは「電源の通し方」が特徴的

2018年07月18日 13時00分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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 オンキヨー&パイオニアは7月18日、パイオニア(Pioneer)ブランドの新プリメインアンプ「A-40AE」「A-10AE」を発表した。価格はそれぞれ5万7500円(税抜)/3万8800円(税抜)。7月下旬の発売を予定している。

A-40AE

A-10AE

5万円クラスながら新設計の電源基板で、音質が進化

 同社の単品アンプとしては入門者向け。エントリー機種としては2012年の「A-30」「A-10」以来、6年ぶりの刷新だ。パイオニアブランドでは、製品型番の数字が大きいほど上位。上位機種は2015年発表の「A-70DA」「A-50DA」などD級アンプを搭載しているが、一般的なAB級のアナログアンプを搭載している。

機種ラインアップ

 伝統の「ダイレクトエナジーデザイン」に基づいて設計された機種だ。パイオニア創業当初からの設計思想で、大きく3つのコンセプトがある。「信号経路の最短化」「クリアな電源供給」「クリーングランド設計」だ。

 「従来機種のA-30から進化させた」音質面では、音楽性を重視した。“Crisp&Clear Sound”を標榜。中低域の厚み・深みがありつつ、低域に芯のあるチューニングにした。また、リビング設置が多いことを考慮して、光・同軸デジタル入力を追加。テレビの音を良くしたいといったニーズにもこたえられるようにした。内蔵DACはWolfson製とのこと。

ダイレクトエナジーコンストラクションの解説

 A-40AEの開発に当たって機構設計も一新した。特徴的なのは、特許出願中の「ダイレクトエナジーコンストラクション」だ。通常のアンプでは、電源部(電源トランスや安定化電源)とアンプ基板の間にリード線を使い、ここから電力を供給する。しかしA-40AEではアンプ基板の下に別途専用基板を用意し、ここに形成したパターンを通じて電力を供給する仕組みにした。基板の銅箔の厚さは35μmと一般的だ。

アンプ基板の下に空洞が見えるが、ここに電源専用の基板が入っている

電源専用基板(下から見ている)

 サウンドマネージャーの平塚友久氏の提案で試作したところ、思いのほかいい結果が出たため採用に踏み切ったという。線材を引き回すと、インダクタンス(電流の変化が誘導起電力となって現れる性質)の影響を受けやすく、電流のリークや外来ノイズの飛び込みといった問題が発生する場合がある。特に近くにあるパワートランスの影響を受けやすいという。また、ケーブルを使用するとレイアウトの自由度はますが、ケーブル自体の位置が動くため、製品個別のバラつきも生じる。この点にも配慮した設計となる。

コンデンサーの間に小さなコネクターが見えるが、ここが電源とパワー部をつなぐ部分

 なお、この電源専用基板は、プリアンプ/パワーアンプなどアナログ回路専用で、デジタル系回路用と電源を分離している。下からコネクタで直接プリアンプ、パワーアンプに電力供給する構造だ。

縦向きに整えられたリード線に注目

 電源に使うトランスに関してもプリ/パワー/マイコン用で異なる巻き線を使用。さらにトランスからの配線(線材処理)を立体的にスタイリングして相互干渉が起きにくくしている。ループをなるべく閉じつつ、生産過程でも安定した結果が得られる巻き方を選んだそうだ。

機構設計にもこだわり

 そのほかの工夫としては、フット部(インシュレーター)やボリュームノブがある。フット部は3Dプリンターで複数の形状を試作。デザイナーごとに誰のものが一番音がいいかを聞き比べて選んだという。ルーローの三角形型の仕切りが入っているが、これは平行面をなくすため。さらに定在波、共鳴・共振を防ぐために肉厚なども少しずつ変えながら決めた形状とのこと。

3Dプリンターで試作したフット部

 ボリューム部のスタビライザーは、ユーザーが触れる機会が多い場所ということで感触にこだわり、ぐらつきを抑えた構造にした。ボリュームの振動を制御して音のレスポンスを上げる役割も持たせているそうだ。ほかに、鋼板製シャーシの厚みを一般的な1㎜より厚い1.6mmにするなどしている。

スピーカー端子も非磁性体にするなどこだわっているという

背面

 定格出力は60W+60Wで、7系統のアナログ入力と1系統のアナログ出力を装備。パワーアンプダイレクト入力やMMカートリッジ対応のPHONO入力も持つ。本体サイズは幅435×奥行き323×高さ129mmで重量は8.2kg。

4万円前後で投入する、より手軽な機種も

 A-10AEは、A-40AEと同サイズの筐体にベーシックなアナログプリメインアンプの機能を搭載した製品となる。ダイレクトエナジーコンストラクションやDAC機能は省略。使用パーツについても、利用するコンデンサーや、フロントパネルの部材にアルミ合金ではなくヘアライン仕上げのプラスチックを使用するといった違いがある。出力は50W+50W。本体サイズは幅435×奥行き323×高さ129mm、重量は6.8kgだ。

仕様の違い

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