Kなし型番とモバイル向けSkylakeは
9月発売?
では次にSkylake-Sの話をしよう。IDFに先んじて製品発表を行ない、IDFの中ではもう少し詳細を発表した。こちらの中身はまた別に触れるとして、とりあえずロードマップの話を進めよう。
今回発表された2製品はDevil's Canyonの後継ということもあってか、高性能/高オーバークロック性に振ったモデルであり、ベンチマーク結果にもそれが示されている。
この発表に続き、9月にはラインナップがさらに充実されることになる。まずCore i7向けには6700と6700Tが、Core i5には6400~6600と6400T~6400が追加される。
こちらはいずれもTDPが35W(Tモデル)と65W(無印)になっており、その分動作周波数はやや下がる。
またこれと同じタイミングで2コアのモデルも発表になり、これがCore i3とPentiumとして展開されることになる。ただCore i3/Pentiumに関しては、出荷がやや遅れて9月末になりそうである。
このタイミングにあわせ、チップセットの方もコンシューマー向けのH170、ビジネス向けのQ170/Q150/B150に加え、バリュー向けのH110がやはり9月に発表が予定されているが、このうちH110に関してはPentiumが発売される9月末あたりに投入となりそうだ。
このように上から下までSkylake-Sベースの製品が予定されているため、Broadwellの居場所がなくなったというのはある。
SkylakeはCeleronだけ
投入が少し遅れる
そのSkylake-Sコアであるが、Celeronはもう少し遅くなりそうだ。正確な投入時期はまだ定まっていないが、2016年にずれ込むことは間違いない模様だ。これはローエンドがいつLGA 1150からLGA 1151に移行するか次第となっている。
ただ、LGA 1151への移行は意外に遅くなりそうな模様だ。これはSkylakeがサポートするメモリーに関係する。
SkylakeはDDR3LおよびDDR4の両対応となっているが、DDR3には対応しない。あくまで1.35VのDDR3Lのみである(関連リンク)。このDDR3Lはそもそも流通量がDDR3よりも少ない。これはDDR3Lの価格を検索するとわかるが、ほとんどがノート向けのSO-DIMMタイプであり、通常のDIMMタイプの商品は少ない。
当然ながら価格もあまり落ちておらず、Celeronのようなバリュー向けにはやや不適当である。CeleronをSkylakeに移行させるためにはDDR4の価格がDDR3並に落ちるのを待たねばならないが、さすがにこれは2015年中は難しいと見られており、2016年の中旬くらいになると思われる。したがって、Celeronのみ2015年中はまだLGA 1150となりそうだ。
そのCeleronだが、いまだにIvy BridgeベースのG16xxが供給されているのがすごいが、さすがにこれは今年一杯でEOL(End of Life:終息)になる見込み。ただしHaswellベースのG18xxは来年もまだ供給が続くと思われる。
またAtomベースCeleronに関しては、2013年からBay Trail-DベースのJ17xx/J18xxが供給されているのだが、2015年3月にこっそりとBraswell-Dベースの製品が追加されている。
これは要するに14nmのAtomで、ラインナップはPentiumのN3700、それにCeleronのN3000/3050/3150の3製品なのだが、インテルの分類ではこれらはモバイルおよび組み込み向けという扱いになっており、ひょっとするとデスクトップ向けの展開はない可能性もある。そのあたりを加味して図では破線とさせていただいた。
→次のページヘ続く (Kabylake、Icelake、Cannonlakeと続く後継モデル)

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