これまで3回にわたって、個人用の大容量ストレージなら、Drobo 5D/5Nが大本命であることをご紹介してきた。3記事を読んだ方からの意見や質問をいただいているので、それに答えていこう。
質問1●古いHDDを追加しても大丈夫?
Droboの特徴の1つは、HDDを追加するだけで、どんどん容量を増やせることだ(HDDベイが5つなのでそれ以上のHDD追加はできないが...)。余っている古いHDDの再利用にピッタリだ。しかし、古いHDDは速度が遅いため、読み込みや書き込みの速度が遅くなって使い物にならなくなる事はないだろうか?という質問をいただいた。
ネットワーク(ギガビットEthernet)経由で接続するNASであるDrobo 5Nは、ネットワーク側の最大伝送速度である1Gbpsがネックとなるため、HDDの速度は関係なさそうだ。だが、最大5GbpsのUSB 3.0や同20GbpsのThunderboltに対応するDrobo 5Dでは、HDDの速度が足を引っ張る可能性が考えられる。
さっそく、実験して調べよう
まず、比較的高速なHDDとして2011年に登場したシーゲート「Barracuda 7200.12」の1TBを2台搭載した状態で、転送速度を測定する。続いて古いHDDの代表として、手元にあった同じシーゲートの「Barracuda 7200.10」(2006年登場)の250GBを追加して、転送速度を測り、その差を見てみる。
転送速度の算出には、CrystalDiskMark 4.0.3(64bit版)を使い、シーケンシャル読み出し/書き込み速度を測定した(テストサイズ、条件などはデフォルト)。前回と同様、読み出し/書き込み、マルチスレッド/シングルスレッドの差について、一般化できるような傾向は出なかった。そこで、各条件でのチャンピオンデータ(最大値)を紹介する。
まず、1TB×2台の転送速度は以下の通りだった。
1TB HDD×2台の転送速度 | |
---|---|
条件 | 転送速度(MB/sec) |
読み出し/マルチスレッド | 164.4 |
書き込み/マルチスレッド | 89.5 |
読み出し/シングルスレッド | 89.3 |
書き込み/シングルスレッド | 116.2 |
続いて、3台目として、Barracuda.10の250GBを追加した結果は、以下の通りだ。
1TB HDD×2台+250GB HDD×1台の転送速度 | |
---|---|
条件 | 転送速度(MB/sec) |
読み出し/マルチスレッド | 152.4 |
書き込み/マルチスレッド | 97.1 |
読み出し/シングルスレッド | 84.7 |
書き込み/シングルスレッド | 119.1 |
比較的遅い250GBのHDDを追加した場合の結果は、1TB HDD×2台の結果と比較するとほぼ変わらないか、少し低下というところだ。
3台目に高速なHDDを追加した場合との差は?
Drobo 5Dに3台目のHDDを追加した場合、HDDの速度に関係なく上記の結果が出た可能性もある。そこで、3台目としてSeagate Barracuda.12を追加した状態でも転送速度を測ってみた。1~2台目と同じHDDである。
1TB HDD×3台の転送速度 | |
---|---|
条件 | 転送速度(MB/sec) |
読み出し/マルチスレッド | 159.1 |
書き込み/マルチスレッド | 140.2 |
読み出し/シングルスレッド | 70.5 |
書き込み/シングルスレッド | 197.1 |
その結果が、上記の通り。3台目にも1TB HDDを用いた場合、マルチスレッド・シングルスレッドのいずれでも書き込み速度が大きく向上する傾向が見られた。だが、読み込み速度は低下する傾向があり、一概に「速くなった」とは言いづらい結果である。
速度低下はわずかなので、手元のHDDは使ってみよう
結局「古いHDDを追加しても大丈夫?」という質問に対しては、Droboに何を求めるかによって答えが変わってくると言えるだろう。できるだけ高速(特に書き込み)なストレージを求めるのであれば、あまり古いドライブは使わないほうが良いだろう。
一方、極限までの速度を求めてはおらず、手元にHDDが余っているのなら、古いHDDであってもDroboに載せておくというのはありだと思う。容量の異なるHDDを有効利用できる点も、Droboのメリットであるからだ。
(次ページ、「質問2●実効容量を超えるデータをコピーしても大丈夫?」に続く)

この連載の記事
- 第47回 まさに究極のDrobo! Thunderbolt 3&SSDキャッシュ対応の「Drobo 8D」を試す
- 第46回 Droboに「AWS CLI」を入れ、Amazon S3にデータバックアップ
- 第45回 高機能ストレージ「Drobo」はトラブル対策も万全!
- 第44回 Windowsの機能を使ってDAS型のDrobo 5CをNAS化する!
- 第43回 Droboなら自分専用のクラウドストレージも簡単に実現できる!
- 第42回 Droboが柔軟かつ安全な理由は独自RAIDの仕組みにあった!
- 第41回 Droboの騒音や発熱、消費電力を徹底検証!
- 第40回 写真愛好家向けのバックアップとしてDroboはどうだろう?
- 第39回 家庭やオフィスでのデータ共有に便利な「Drobo 5N2」は設定も超簡単!
- 第38回 大切なデータの保存に役立つ「Drobo 5C」をゼロから紹介!
- 第37回 Drobo管理のキモ「Drobo Dashboard」を細かく紹介
- この連載の一覧へ