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山谷剛史の「アジアIT小話」 第105回

一見ガラケーだがフタを開くとスマホに変身! 中国の老人向けスマホがスゴイ!!

2015年08月13日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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高齢者向けだからこその工夫も!

既存の高齢者ケータイと比較

既存の高齢者向けケータイと比較。一番右がT68

 家族や知人とのやりとりに、中国で普及するメッセンジャーの「微信」(WeChat)を使えれば、使い勝手はよくなるのだから、家族の誰かしらがこの製品に微信をインストールした後、「ウェブサイトを見るのはこの機種では勧めませんよ」と言ってしまえば、あとは不満なく使ってくれるだろう。

フタにはディスプレーはない

フタにはディスプレーはない

 閉じた状態と開いた状態で、それぞれディスプレーサイズも違うのだが、モニターはひとつだけだ。フタのモニターの部分が透明になって、フタをしめるとフィーチャーフォンモードに変わり、モニターの表示が変わるというわけだ。

 フタをしめたときはスマートフォンながら、フィーチャーフォンのように見せているわけだ。フタのボタンの押下感だが、高齢者向けケータイを意識しているからこそ、しっかりと電卓を押すような感触がある。

 旧世代のスマートフォンにフィーチャーフォンに化けるフタをつけただけではない。高齢者にも音が聞こえるよう、全般的に大音量の傾向がある中国のケータイの中でもとりわけ大音量にできる。

 また他の高齢者向けケータイと同様、側面にはLEDライトスイッチ、裏面にはカメラとともに押下すると警告音がなるSOSボタンがあり、他の高齢者向けのケータイからの移行も容易にできる。

高齢者向けのアプリもある

高齢者向けのアプリもある

 さらに、Android側でインストールされているアプリについても、本機のマイクで拾った音声を本機のイヤフォンに届ける補聴器アプリや、本機のカメラの画像をディスプレーで大きく見せる拡大鏡アプリ、薬を飲む時間を教えてくれるアプリなどが用意されていて実用的だ。

スマホが高齢者向け情報端末のスタンダードに!?

 今までは高齢者にとってスマートフォンでは多機能すぎて難しく、されど高齢者向けのケータイでは、知人と連絡するための定番のメッセンジャー「微信」や「QQ」の利用ができなかった。インストールするまでは高齢者にはハードルが高いが、家族の人がこれらをインストールすれば、現時点で最も理想的な高齢者向けハイブリッドスマートフォンができあがる。

 マニアックな機種なので知られていないが、口コミで広がれば、さまざまなメーカーが同じような機種をリリースし、この手のハイブリッドスマートフォンが高齢者向け情報端末のデファクトスタンダードとなるかもしれない。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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