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日本のITを変える「AWS侍」に聞く 第16回

グローバルを目指すIoTプラットフォームを技術とチームで支える

日・欧・米での経験を活かしてSORACOMで羽ばたく安川さん

2015年08月05日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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玉川さんの全幅の信頼を受けSORACOMへジョイン

 そんな安川さんは7月に米国から帰国し、元AWSのエバンジェリストである玉川憲さんが立ち上げたSORACOMに専念する。

 きっかけはクラウドの次を見据えた玉川さんとのディスカッション。「エリクソン時代に描いていたM2Mのつながる先として、今はクラウドがある。玉川さんと飲み屋で盛り上がったアイデアを話していたら、次の日に玉川さんがリリースノートを書いてきた(笑)」という経緯だ。日米のスタートアップのCTOとの交流を通して、両者のエッセンスを知り尽くしている安川さん。そのノウハウを活かしたグローバルスタートアップを作っていきたいというのが、安川さんの野望だ。

 玉川さんを含め、テクノロジーに長けたメンバーを擁するSORACOM。その中で、安川さんはCTOとして、コアのアイデアをブラッシュアップしたり、増えてきたチームから技術を吸い上げるのが役割を果たしている。玉川さんは「コアの開発はもはや安川さんに任せている。僕はもうこの3週間、ほとんどコードを書いていないんです(笑)」と全幅の信頼を寄せる。

「コアは安川さんに任せている。僕はほとんどコード書いてない(笑)」(玉川さん)

IoTにおけるAWS的なイネーブラーになりたい

 CTOとしての役割は手探りと語る安川さんだが、ロールモデルはアップルのスティーブ・ウォズニアック氏を挙げる。コロンビア大学時代に聞いた講演に感銘を受けた安川さんは、「技術という魔法でアップルのビジネスを実現させたのは、やはり彼の功績だと思う。だから、僕も技術という魔法を効率的に使えるようにしていきたい」と語る。

 6月にベンチャーキャピタルから約7億円という資金を調達したSORACOM。「世界中の人とモノをつなぎ、共鳴させる」というビジョンの元、AWSのクラウドとモバイル機能を使ったグローバルレベルのIoTプラットフォームを開発している。玉川さんは「AWSの出現により、いろんなスタートアップが出てきたことにすごい感銘を受けている。なので、IoTの世界におけるAWS的な存在、さまざまなIoTサービスのイネーブラーになるようなプラットフォームを作りたい」と語る。クラウド女子会のランキングでも人気を得た経験を持つ安川さんは、今後SORACOMで得た知見をJAWS-UGでも積極的に話していきたいという。

「さまざまなIoTサービスのイネーブラーになるようなプラットフォームを作りたい」(安川さん)

 もう1つのキーワードはグローバル。世界で戦うため、SORACOM自体にも日米のスタートアップのエッセンスをいいとこどりしていきたいという。「親父スタートアップ」(玉川さん)としての働き方、プラットフォームビジネスを支える給与体系、エンジニア同士のコミュニケーションなど組織としてのブラッシュアップを進めていくという。

 「チーム構成や働き方など、日本の常識を適応したままだと、なかなかスケールしない。海外のエンジニアは、バックグラウンドの違う人との意見の伝え方にも長けている。一方で日本のエンジニアが持つ真面目さ、勉強への熱意は、世界で勝てるところは、なかなかないと思う。両者の常識を持ち込むことで、うまくシナジーを起こせたらいいなと」と安川さんは語る。

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