撮影すれば値段がわかる、世界初の「瞬撮会計」システム
「だって私、パン屋だもん」
パンを売るといえば、帰ってきたウルトラマン「怪獣使いと少年」の、パン屋のおねえさんを思い出して、涙してしまうのは私だけでしょうか。宇宙人だからと差別されている少年に、それが私の仕事だからと、彼女は笑顔で少年にパンを売ります。ううう……。
それはともかく、21世紀初頭のパンを売るテクノロジーはすごいことになっていました。
「BakeryScan(ベーカリースキャン)」はお客さんがトレイに乗せて持ってきたパンを、カメラでスキャンして「メロンパン」「ドーナツ」「ツイストロール」と品種を見分け、合計の代金を計算するというシステムです。つまり、レジの人はパンの種類を覚えなくてもいいし、パンの種類を間違えて計算ミスをしたりしない、ということです。
パンの焼け色の違いや、トッピング素材の位置の違いがあっても、正確に識別できるもだとか。間違って認識しているかもしれないパンは黄色の枠で表示され、正しいパンを選択すると、その結果はデータベースに反映されるので、識別精度も向上するということです。
POSシステムに撮影ユニット、ソフトウェア、タッチパネル、客面ディスプレー、を取り付けて完成。導入店舗を見てみたら、うちの近所のパン屋さんにもすでに入っていました。
小ロットのパッケージに対応する「みんパケ」
最近、たまーにコーヒー豆を人からもらうと、個人の焙煎店なのに、綺麗に印刷されたパッケージに入ってきて、へえっと驚くことがありますが、それを可能にするサービスがコレです。
従来は1万枚単位のロットでしか受け付けられなかったパッケージのオーダーも、デジタルプリンターで小ロット対応が可能になったわけです。「みんパケ」は最小ロット500枚で2万7300円からオーダー可能といいます。
いま東京はカフェブームとかで、日本の昔ながらの喫茶店を参考にしたというアメリカのコーヒーチェーンが進出し、何かと話題を集めています。でも、だったら日本の昔ながらの喫茶店でいいじゃん、と思わなくもありません。チェーン展開する技術は新しいのかもしれませんが、肝心のコーヒーがおいしくなかったらしょうがないわけです。
個人店の維持や開業を支援する方向で、最新の技術が活かされることを望んでやみません。そして個人用にカッコいい、低コストで、うまいコーヒーが淹れられる、新しい器具の開発も。次回また喫茶・カフェショーが開催されたら、必ず見学に出かけようと思ったのでした。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ