アプリ開発、ビッグデータ、IoEのマーケットプレイスをISVと提携し開設へ
IoEに適したクラウドへ、シスコが「Intercloud」強化を発表
2015年06月15日 06時00分更新
シスコシステムズは米国時間6月10日、「Cisco Live US 2015」において、各国のパートナーと推進するクラウドサービスネットワーク「Intercloud」の機能強化を発表した。新たに多数のソフトウェアパートナー(ISV)と提携してマーケットプレイスを開設するほか、「Intercloud Fabric」の新規リリースで対応ハイパーバイザ拡充などを行っている。
シスコが各国パートナーと展開するIntercloudとは
2014年3月に発表されたIntercloudは、各国のパートナークラウドと顧客のプライベートクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウド環境を提供するソリューション(関連記事)。ポリシーベースのインフラプロビジョニング技術である「Cisco ACI(Application Centric Infrastructure)」、クラウド間をセキュアに接続する「Cisco Intercloud Fabric」、「OpenStack」という3つの技術コンポーネントをベースにしており、顧客のIT管理者は単一のマネージャーから、単一ポリシーに基づいてハイブリッドクラウドをコントロールできる。
昨年10月にはNTTデータ、エクイニクス、BTなどのプロバイダーパートナー、ディメンションデータなどのビルダーパートナーの追加も発表した(関連記事)。現在は65のパートナーを通じて、50カ国、350以上のデータセンターが利用できる。顧客がローカルのプロバイダーを選べるようにすることで、各国/地域におけるデータ保存規制への対応を容易にする狙いもある。
マーケットプレイスを開設、アプリ開発やビッグデータ解析、IoEの基盤ツール群を提供
今回のCisco Liveではまず、「Intercloud Marketplace」の新設が発表された。第一弾として35社以上のISVパートナーとの提携が発表されており、今年(2015年)秋の開設予定。
このマーケットプレイスでは、DockerやChef、Apprendaといった「開発プラットフォーム/ツール」、Apache HadoopおよびMapR、Hortonworks、Clouderaの商用Hadoop、MongoDBなどの「ビッグデータ/アナリティクス」、さらにシスコのData Virtualization、EnergyWiseといった「IoE(Internet of Everything)クラウドサービス」の3領域を中心にツール/ソフトウェアを展開する。
こうしたツール/ソフトウェアを簡単かつ迅速にデプロイ可能にすることで、Intercloud上におけるアプリケーションの開発や展開を容易にし、開発者に対するプラットフォームとしての優位性を持たせることが狙いだ。
また、異なるクラウド間をつなぐ役割を果たすIntercloud Fabricでも、新たなリリースにより対応するハイパーバイザやクラウドを拡大している。
まず、Intercloud Fabricが対応するハイパーバイザ(インストール先)として、「VMware vSphere」に加え、新たに「OpenStack KVM」「Microsoft Hyper-V」がサポートされた。
さらに、Intercloud Fabricが内包する仮想ファイアウォール「Virtual Security Gateway(VSG)」が「Microsoft Azure」クラウドに対応した。これにより、顧客はプライベートクラウドで利用するACIポリシーと同一のポリシーを使い、Azure上のVSGによるゾーンセキュリティが実現できるようになった。加えて、新たにIntercloud Fabricを通じて、Amazon Web Services(AWS)のVPCに仮想マシンを展開することも可能になっている。
(→次ページ、なぜIntercloudは「IoEに適したクラウド」なのか?)