新CPU「Atom x7-Z8700」の性能をチェック!
続いて、Surface 3のパフォーマンス面について見てみよう。Surface 3で採用されているAtom x7-Z8700(1.6GHz)は、開発コード「Cherry Trail」の最新CPU(SoC)だ。製造プロセスルールはBroadwell世代と同じ14nmで、CPUコアにはBay Trailで採用されていたSilvermontアーキテクチャーの次世代版、「Airmont」アーキテクチャーとなっている。さらに、内蔵GPUの実行プロセスが従来の4基から16基へと4倍になっている点も大きな特徴。
Cherry Trailを搭載したモデルはこのSurface 3が初となるだけに、どれほどのパワーを持っているのか気になる人も多いだろう。
CPU性能を計測する「CINEBENCH R15」
CPU性能を計測する「CINEBENCH R15」の実行結果では、「CPU」のスコアが「124cb」となった。筆者がこれまでに計測してきた範囲内でほかのCPUと比べると、Bay Trail世代のAtom Z3795と同等レベルかやや上、Celeron Uシリーズよりは性能が高く、Core M/Core i3よりは劣るといったところだ。
従来のAtomシリーズと比べると、OpenGLのスコアが倍近く高くなっている。グラフィックス性能については、格段に向上しているといっていい。
3D性能のパフォーマンスを計測する「3DMark」
そこで、3D性能のパフォーマンスを計測する「3DMark」でチェックしたところ、3Dゲームを快適にプレーできるほどの性能ではないことがわかった。あくまでも、Windows 8.1を快適に利用する上でのサポートとなる程度だ。
ストレージには省電力なeMMCを採用
Surface 3には、メモリー容量が2GBでストレージ容量が64GBのモデルと、メモリー容量が4GBでストレージ容量が128GBのふたつのモデルが用意されている。今回試用したのは後者の4GBメモリー/128GBストレージのモデルだ。タブレットとしてライトに使うなら2GBメモリーでも問題ないが、PCとして利用するつもりならメモリーは4GBあったほうがいい。
ストレージにはSSDではなく、eMMCが使われていた。読み込み速度ではHDDよりも高速なのだが、書き込み速度ではHDDよりも遅い点が気になるところ。
高い生産性が求められるマシンでは読み込み/書き込みともに高速なSSDを使うべきだと筆者は思うのだが、Surface 3のスペック全体から考えると高度な写真加工や動画編集は厳しいので、大容量ファイルを扱わないならeMMCでも十分なのかもしれない。
総合的なパフォーマンスは問題なし
予想以上にサクサク動き、驚かされる
Windows 8.1の快適さを表わす「Windowsシステム評価ツール(WinSAT.exe)」の結果については、下記の表のとおりだ。CPUの性能を表わす「プロセッサ」が「6.8」と高く、グラフィックス周りのスコアについてもAtomシリーズとしては高めの結果が出ている。
試用機のWindowsシステム評価ツールの結果 | |
---|---|
プロセッサ(CpuScore) | 6.8 |
メモリ(MemoryScore) | 5.9 |
グラフィックス(GraphicsScore) | 5.2 |
ゲーム用グラフィックス(GamingScore) | 4.8 |
プライマリハードディスク(DiskScore) | 6.95 |
「PCMark 8」の「Home conventinal 3.0」の結果は「1508」とそれほど高いスコアではない。だが、Bay Trail世代のCPUを搭載したモデルではスコアが1100〜1200程度だったことを考えると、性能は確実に向上している。特に3Dグラフィックス性能が影響する「Casula Gaming」が「14.7fps」とかなり向上した。だが、CPUへの負荷が高くなる画像処理やエンコード関連のスコアが低く、全体的にはやや低めの結果となった。
また、スクリーンショット右側のグラフを見るとおわかりにように、ベンチマーク中は動作周波数が安定しておらず、ワークロードによっては動作周波数が500MHz以下にまで低下することが何度かあった。かなり細かな電源管理が行なわれていると思われる。
実際にWindows 8.1を使ってみた限りでは、パフォーマンスは悪くはない。予想以上にサクサク動き、少し驚いたというのが正直な感想だ。Atomというと動きがモッサリしているイメージがあるかもしれないが、Surface 3ではWindows 8.1の操作もアプリの起動時もキビキビと動作する。よっぽど負荷の高い作業を行なわない限り、日常的な作用なら快適に利用できるはずだ。