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若手ライター天野透が使うVAIO Z 第1回

サヨナラApple、コンニチハVAIO Z

2015年07月17日 17時00分更新

文● 天野 透 編集●ASCII.jp

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変形するフリップヒンジ機構、いいじゃないですか

 さて、VAIO Zが発売されてすでに数ヵ月が経った。筆者が実際に手にしてからもそれなりに時間が経過した。製品発表時に筆者が感じた「当代最高のラップトップのひとつになるかも」という直感は今でも変わっていない。

何もあきらめなかったモバイル。

 デスクトップ並みに強力な基本スペック、丸一日使ってまだ余裕あるバッテリー、わずか数秒で立ち上がる電源、そしてワンタッチでプレーンなタブレットへ早変わりする変形機構。見た瞬間にこれほどワクワクしたノートPCは珍しい。

 十年来のソニーラバーな筆者(人はこれをバカと呼ぶ)は、初めてZの名を冠したVAIOが登場した時のキャッチコピー「何もあきらめなかったモバイル」を思い出した。ノートブックとしての「これまでのスタイル」と、タブレットという「これからのスタイル」を高次元で両立している。時代が変わり、ソニーからVAIOに変わっても根底に流れる精神は変わっていないのだ。

 今までにも薄くて軽い2 in 1機はいくつかあったが、VAIO Zの機構は優れている。例えばSurface Pro 3などの分離式は、取り外したキーボードが邪魔になってしまう上、ラップトップ時と比較してタブレット時に入力ポートが減る。ディスプレー側にバッテリーやマザーボードを積まないといけないために、ラップトップ時の重量バランスが悪いのも問題だ。

 「YOGAシリーズ」などに見られるディスプレーが360度回転するタイプでは、の背面にキーボードがくるのが、どうしても馴染まなかった。長時間持っていると手汗も入るし、使いもしない可動部を晒し続けるのに不安感がある。タブレットにした状態でもキレイな形に収まってほしいのだ。でないと使っていてストレスが溜まる。

即座に閉じられるの利点を実感

 実際に使ったVAIO Zのフリップヒンジは、想像以上の効果である。

 まずはラップトップからタブレットへの早変わりだ。「niconico」したい時やPDF資料を読みたいときなどに、素早く「まな板」になって手元に引き寄せられる。目からディスプレーまでの距離をキーボードやパームレスト分だけ縮められるので、その分画面に集中することができるのである。これは想像以上にコンテンツへの没入効果が高く、ラップトップより圧倒的に「見やすく」感じる。

 数人で画面を見るときや、寝転がって動画を見る時に、ディスプレーをサクッと裏返しに出来るのも嬉しい。

 メーカーは推奨していないが、新幹線などテーブルが使える環境では「ディスプレイーを半分だけ起こす」というスタイルも効果的だ。動画閲覧や読書がしやすくなる上に、この状態であればキーボードを使いたいときに素早くラップトップモードに戻せるので、「フリップヒンジにしかできない使い方」としても提案したいと思う。

 なぜこれが便利かというと、タブレット形状から素早くディスプレーを閉じられることである。例えば電車の中、タブレット形状でニュースサイトを確認している時に下車駅のアナウンスが流れたとしよう。そんな時は慌てず騒がず、正面カメラ上の出っ張りに指を引っ掛けて、そのまま上に引き上げてやればラップトップモードに早変わりだ。パタンと閉じて鞄の中へ、何事もなかったかのように席を立てるというわけである。家電量販店の展示では防犯タグが付いているので、なかなかフリップヒンジを自由に動かせないかもしれないが、機会を見つけて体験してほしいポイントだ。

バッテリーのもちも素晴らしい

 もちろんPCとしての基礎能力も高い。特にバッテリーライフは目を見張るものがある。

 ある日の筆者は、高速バスの車内でせっせと記事執筆をおこなっていた。電源は無く、ポータブルWi-Fiを使ってネットに接続し、ウェブで資料集めをしながらWordに文章を打ち込む(オートアップロード有り)という作業環境だ。輝度はおよそ50%、数分おきにメールのやり取りやネットブラウジングも交えながら、1時間半で3,000文字程度の記事を書き上げた。その時のバッテリー消費率がたったの10%(75% → 65%)だったのだ。

 単純計算でカタログスペック通りの15時間というバッテリーライフをほぼ達成する、驚異的な比率だ。無理にバッテリー消費を抑えた設定にもしていないので、充電し忘れでもない限りバッテリーは心配しなくても良いだろう。実際筆者は毎日外に持ちだしているが、電源セーブを目的としたシャットダウンをすることなく、スマホやタブレットのように常時スタンバイで運用できている。電源管理はタブレット感覚で問題がないので、使いたいときに瞬時に立ち上がってくれて、非常に便利だ。バンザイ。

天野 透(あまの とおる)

 1987年生まれ、神戸出身の若手ライター。某家電量販店で販売員を経験した後に、一念発起して都内の大学へ進学。大学院で文学を学びながら、二足のわらじでライター稼業を続ける毎日。信念は「高度な社会に物語は不可欠である」。何事も徹底的に楽しみ尽くしたい、凝り性な人間。

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