Lambda、Cognito、WorkDocsが今夏東京リージョンでスタート
モバイルやIoTでもAWS!マネージドサービスでビジネスは変わる
2015年06月03日 14時30分更新
脱EC2に動き始めた先進事例が披露
今後キーになってくるのが、AWSのマネージドサービスを組み合わせたサーバーレスの構成だ。AWS Community Heroということで登壇したクラスメソッド代表取締役社長の横田聡氏は、こうしたマネージドサービスの先進事例を紹介した。
横田氏がまず紹介したのが、回転寿司チェーンを展開するあきんどスシロー。スシローは寿司ダネの情報をKinesisで収集し、Redshiftを活用することで、廃棄率の削減を実現している。さらに、今年リリースされたモバイルアプリケーションでは、外からの来客予約を実現。Amazon Machine Learningで待ち時間の予測にチャレンジしている。
店舗からの情報はKinesisで収集され、PaaSのAWS Elastic Beanstalkで管理。収集されたデータはRedhisftで加工され、Amazon Machine Learningに送られ、モデルを作成する。ユーザーはこのモデルに基づいた結果をリアルタイムでチェックでき、どれくらいの待ち時間で入店できるかわかるという。
もう1つは中古車販売を手がけるガリバー。ガリバーも多くのサーバーをAWSに移行しているが、業務システムの刷新に際して同じようにAmazon EC2を数多く立てて構築するのに疑問を感じていたという。「もっとクラウドネイティブに速く開発できないか、運用を楽にできないか考えた」(横田氏)。その結果、CognitoやLambda、Dynamo DB Streamsを用いて、新しいシステムを構築することになったという。
まずはCognitoでモバイルのユーザーを認証し、Lambdaを呼び出し、在庫や査定情報などの更新を行ない、その結果がDynamoDBにストアされる。ここで利用されるのがDynamo DB Streamsだ。「今まではSQLでトリガーを書いたり、ポーリングすることで、データの状態を確認していたが、DynamoDB StreamではAPIで管理される。溜まったデータからさらにLambdaなど次のコンポーネントを呼び出すことができる」と横田氏は説明する。イベント駆動のLambdaを使って、全文検索のエンジンに渡したり、監査情報としてデータをストアすることが可能になる。「今までこうしたシステムを作ろうとすると、プログラミングが必要だった。これが最初から提供されているのがポイント」(横田氏)。
両者に共通しているのはEC2を使っていないという点だ。「AWSを使おうというお客様は、まずはオンプレのシステムをクラウドに移行する。これが第一段階。でも、移行して以降は、もっとコストが下がるのでは? 開発や運用が楽になるのでは?と思い、クラウドネイティブなコンポーネントを組み合わせるという方法に行き着く。組み合わせることで、開発や設計、リリース後の運用の時間を短縮できます。テスト済みのマネージドサービスを組み合わせて、早くビジネスを立ち上げる。運用コストを削減する。これが新しいクラウドの使い方。ぜひみなさんもチャレンジしていただければと思います」と横田氏はまとめた。
WorkDocsも東京リージョンでスタート
最後に紹介されたのは、デスクトップ仮想化を中心としたエンタープライズのアプリケーションだ。現在、AWSではデスクトップ仮想化を実現する「Amazon WorkSpace」のほか、ファイル共有やコラボレーションを実現する「Amazon WorkDocs」、メールとカレンダーを提供する「WorkMail」の3つのエンタープライズアプリケーションを提供している。
AWS エンタープライズアプリケーションを統括するジーン・ファレル氏は、これら3つのサービスがすべてモバイル対応になっていることをアピールする。モバイルデバイスでのデモンストレーションを披露。WorkDocsの日本語版が東京リージョンで開始されることも発表された。
まとめに入ったアージェンティ氏は、AWSがモバイル・エンタープライズアプリケーションをテクノロジー面で支援できるとアピール。「グローバルクラスのインフラとツールを用いて、みなさまのビジネスに役立てて欲しい」と語ったアージェンティ氏は、10月のre:invent 2015をアピールしつつ、講演を終えた。