de:code 2015基調講演ではクラウド戦略をアピール
Azure Data LakeやOMSも披露!進化するMicrosoft Azure
2015年05月27日 14時00分更新
Microsoft Azureユーザーとした登壇したトヨタ自動車の講演の後、ザンダー氏はMicrosoft Azureの特徴である「スケール」「エンタープライズ対応」「ハイブリッド」の3つについて語る。
スケールに関しては、AWSやGoogleを超える19箇所のデータセンターをアピール。2機のジャンボジェット機が格納できるフットボール場サイズのデータセンターを確保し、1つのリージョンには60万のサーバーが置けるという。「地域的にも離れているので、災害復旧の面でもメリットがある」とザンダー氏は語る。また、ワークロードに応じた仮想マシンを提供し、必要なコストや性能の要件に合わせて選べるという。「最近は6万4000IOPSを実現できるプレミアムストレージもGAとなった。さまざまな仮想マシンにアタッチできる」(ザンダー氏)。
また、ビッグデータの格納先として利用できる「Azure Data Lake service」に関しても言及された。シングルアカウントで1EBまで対応でき、1ファイルで1PBまで管理可能。セキュリティやアクセス管理も充実しており、エンタープライズでの利用に耐えうる。ザンダー氏は「数PBのローデータを管理しなければならないという需要が社内であった。データベースや非構造化データをそのままの形で保存でき、高スループット・低レイテンシで分析することもできる」と説明した。
データをプールするData Lake上にはHDFSのAPIが提供されており、AzureのHadoopサービスである「HD Insight」や最近買収したRevolution-R、各種OSS、SQL DB、そして最新のデータウェアハウスサービス「Azure SQL Data Warehouse」から利用できるという。
同社が力を入れるOSSのサポートに関しても言及された。現在、Microsoft AzureではWindows、iOS、Androidなどのデバイス、.NET、Java、PHP、Python、node.jsなどの言語、Hadoop、MySQL、MongoDB、CouchDB、redisなどのDB・ミドルウェアなどに対応しており、ユーザーが自由に選択できる。オーケストレーションに関しても昨年来から手厚いサポートを提供しているDockerはもちろん、puppet、CHEFなども利用できる。
真の意味でのハイブリッドクラウドが実現できる
「エンタープライズ対応」というテーマで、セキュリティやコンプライアンスなどの取り組みを紹介した後、ザンダー氏は3つ目の「ハイブリッド」というキーワードに言及した。まず接続性に関しては、VPNでAzureとオンプレミスのシステムを接続できるほか、IIJやエクイニクスなどの「ExpressRoute」を用いることで、インターネットを介さず接続することも可能だ。また、オンプレミスのデータをAzure側にバックアップ・レプリケーションすることも可能。広域に展開されているAzureのリージョンは、DRにも役立つという。
管理に関しては、ハイブリッドクラウドの可視化を提供する「Microsoft Operation Management Suite(OMS)」が紹介された。日本マイクロソフトの安納順一氏によるデモでは、マルウェアの駆除状況や頻繁な構成変更、自動化したタスクなどをチェックするOMSのソリューションパックを選択し、WindowsやLinuxサーバーを監視対象に追加。オンプレミスのSystemCenter Operations ManagerやAzureのログ、AWSやVMwareのような他社の製品やサービスのデータを収集し、一元的に監視することが可能だという。
安納氏は、「運用監視でもっとも課題になるのはシステム間の“壁”。この壁を取り払うのが、今回紹介したMicrosoft Operation Management Suite(OMS)になる。マイクロソフトだけではなく、AWS、VMware、OpenStackなど情報がどこにあろうが、OMSで1つの画面に集約できる」とアピールした。
Azureスタックをプライベートクラウド向けにパッケージングした「Cloud Platform System」アプライアンスも紹介。ザンダー氏は「アドミンでアクセスし、VMのタイプと提供形態を設定し、開発者に渡せばいい。より簡単にオンプレミスのシステムを構築できる」と説明。また、Azure Marketplaceによってクラウド・オンプレミスで容易にアプリケーションがデプロイでき、「パブリッククラウドで実現したものが、オンプレミスでも実現できる。真の意味でのハイブリッドクラウドのシナリオが実現できることになる」(ザンダー氏)という。たとえば、IoTで収集したデータをクラウド上に集め、データから得られた洞察をオンプレミスに戻すといった構成が容易に実現できるという。
最新のMicrosoft Azureの動向を説明したザンダー氏はここで舞台から去り、後半のモバイル・クライアントテクノロジーの講演につないだ。