世界のノンブランドケータイこと山寨機の都、中国深セン。近年では、中国メーカー製スマートフォンが軒並み安くなったことから、中国における存在感は薄れているとか。
リサーチ会社のiSuppliによると、山寨機の出荷台数は2010年2億2000万台をピークに減少を続けているという。また中国でのニーズは減少し、6割がアジアやアフリカなど海外に出荷されるという。
確かに深センでは、物量的にいえば「いかにもニセモノ!」な山寨機が、以前に比べて少なくなったし、中国全土でも山寨機ユーザーを見ることは少なくなった。
しかし、「小米」の精巧過ぎるニセモノ(関連記事)が相当量市場に出ているし、かたや東南アジアを見てみれば、まだまだ当たり前のように“いかにも”な山寨機を見かける。
そうしたことから、ベトナムで巨大なバッテリー持ちの山寨機が爆発する事件(関連記事)など、中国でありそうな爆発事件が中国国外で発生している。
さて、当連載今年最後の記事ではあるが、「『アジアIT小話』という名前なんだからユルいこと書いてくれ」という声を何回か聞いている。そこで、「中国の代名詞といえばニセモノ」という勝手な勘違いをもとに、深センで入手した変わったiPhoneっぽい山寨機を紹介したい。
画面サイズ2.2型! これは小さなニセiPhone!
筆者が購入したのはmelrose製のケータイ「mp3 terminator(mp3終結者)」。mp3と控えめに自称しながら、iPhoneもどきの携帯電話である。
しかも、iPhoneもどきなのにやたら小さいのだ。実は筆者は「最小智能手机(最小スマートフォン)」で検索して、これを発見した。つまりスマートフォン(っぽいケータイ)の中では、小さい部類といえよう。
中国ではもはや5型サイズのスマホが当たり前で、それ以上のファブレットも多く発売されている。ますます大画面化が進んでいくのに、その風潮に逆行するようなコンパクトな製品だ。
ファブレットのような外見の山寨機は存在するので、技術的に作れないから小さいのを作ったのではない。意図して作ったのだ。
データがないので実測してみると、サイズは幅78×奥行40×高さ10mmで重さは52g。液晶の対角線の長さは5.6cm、つまり2.2型だ。小さくて、おまけにかなり軽い!
値段は180元。円高の現在、日本円で3600円ではあるが、筆者は即断で購入した。次ページでレビューしよう。
(次ページに続く、「意外に使える!? 最新のニセケータイの実力」)

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