ベトナムに驚くほど巨大なフィーチャーフォンが売られている。「世界初の携帯電話」と言われても疑われないほどのジャンボサイズで、男性の手でも大きさを持て余し、ましてやポケットに無理にでも入れようものならポケットを破きかねない。
筆者はベトナムで何度もこの巨大なケータイを見ていて、買おうか買うまいか悩んだ。巨大なサイズだからこそ、デメリットもあればメリットもある。巨大な本体だからこそ、バッテリーも巨大で、表面には「50000」と書いてあり、いわく「充電せずに半月利用できる」とか。
しかも前面には大きく「Nokia」の文字があり、店の紹介によれば「Nokia K60」という型番の製品だという。
これはノキアの製品ではなくニセモノで、ノキアのサイトを見ても見つからない。ベトナムでは遅くとも去年の段階ですでに売られている。「Nokia K60」で検索すると、画像や動画を含めベトナム語のコンテンツばかりが出てくるあたり、ベトナムでそれなりに売られていることが考えられる。
日本円にして5000円もしないので、購入してレビューしようか悩んでいたのだが、そんな(ニセ)Nokia K60が爆発した、というニュースがベトナムで報じられた。
もはやどのメーカーが製造したのか分からない事態に!?
ホーチミンシティの39歳の女性がバイクで走行中、ポケットに入れていた(ニセ)Nokia K60が爆発し、太ももに火傷を負うけがをしたというのだ。
現地のベトナム語の報道においても、Nokia K60は中国製のニセモノだと紹介している。中国製のニセモノがベトナムで爆発したことにも驚いたが、個人的には「あのサイズをポケットに入れるか」という驚きもあった。
中国でもこのニュースは報じられ、さすが「深セン製」「自制大殺器(自作殺人器)」と皮肉られた。
このNokia K60は、その反応の通り、ノンブランドケータイが生まれる深センに居を置くメーカー「科潮達」(KECHAODA、カチャオダ)製だ。現在の同社ウェブページに「K60」はないが、以前はラインナップにあった。
この製品は中国ですら発売されていないが、ベトナムだけでなく、どうもインド方面にも流れているようだ。
悩ましいのは、「K60」ではないのだが、中国市場だけでなく世界各国に向けて出荷する科潮達製ケータイに、(科潮達製ですらない)ニセモノが存在することだ。
今のところ、騒ぎの元となっている科潮達は静観しているのかノーコメントで、ベトナムで科潮達製のK60が爆発したのか、科潮達製を名乗るニセK60がベトナムでニセNokiaケータイとなって爆発したのかは不明である。
(次ページに続く、「お金のない多くの人はやっぱり中国メーカー製品に手を出す」)
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