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山谷剛史の「アジアIT小話」 第89回

中国で売られている極小のニセiPhoneを買ってみた!

2014年12月25日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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意外に使える!? 最新のニセケータイの実力

パッケージと付属品。結構てんこ盛りだ

パッケージと付属品。結構てんこ盛りだ

 iPhoneに似せたケータイではあるが、パッケージは茶色でiPhoneっぽさはない。iPhoneのニセモノとしてだまそうとしている商品ではなさそうだ。

 パッケージを開けてみると、予備バッテリーにUSBケーブル、変換アダプター、簡易な説明書が入っている。メーカー製品では必ずついている「合格証」や製品保証について書いた紙はない。そこはメーカー製と山寨機の違いのひとつ。

ホーム画面に並ぶアイコンの数々

 左側面の電源ボタンを押すと、melroseロゴ表示の後、iOSっぽいメニュー画面が表示される。画面はiOSっぽく見えるが、それに似せたものである。かといってAndroidでもなく、おそらくメーカーのカスタムOSだと思われる。アプリを追加インストールすることはできない。

 タッチパネルで操作ができるが、動きは割ともっさりとしている。iPhoneではホームボタンにあたるボタンは、このケータイにおいては決定ボタンとなる。ホームボタンのつもりで連打すると、電話をかけることになるので注意が必要だ。

待ち受け画面はまさにスマホ

待ち受け画面はまさにスマホ

通話画面。ハンズフリー通話も可能なようだ

通話画面。ハンズフリー通話も可能なようだ

 小さい画面ではあるが、タッチパネルでの誤操作はあまり起きていない。中国製の携帯電話をそのまま小さくしたスマートウォッチは、あまりに小さすぎて操作すらろくにできず、ストレスがたまるが、対してこの製品は操作に関するストレスはない。

SIMカードスロットとmicroSDカードスロットがある。SDHCにも対応している

SIMカードスロットとmicroSDカードスロットがある。SDHCにも対応している

 通信はGSMのみで、4Gはおろか3Gも非対応。無線LANにも対応しておらず、データ通信は日本国外でGPRS(GSM)を利用するしかなく、日本では実質不可能だ。Blueotothには対応している。

 mp3終結者という名前ではあるが、特別mp3再生に特化した製品ではなく、とりあえず再生できるというレベルである。カメラに関しても、VGAではあるが静止画も動画もとれる、というレベルだ。

ゲームはこの1タイトルだけでヒマつぶしには向かない

ゲームはこの1タイトルだけでヒマつぶしには向かない

 中国ではスマートフォンが普及していない農村部の住民でもどうなのかというスペック。ゲームは絵合わせパズル1つしか入っておらず、ヒマをつぶすなら、音楽を聴くか動画を見るかネット小説のテキストを見るしかない。

超小型携帯端末としては結構使えそう!

 しばらく中国でいじっていたら、地下鉄の電車待ちの間に「何この小さいの。クール!見せて」と何度か声をかけられた。「いや山寨機ですよ?」と答えても、関心を持つ人は目を輝かせてこれをいじっていた。

 昔、タブレットの先駆け「VAIO U」を持ち歩いていた時、こんな感じで中国のガジェットファンに声をかけられたことを思い出す。どれもファブレット化していく中で、こんな小さなサイズのモノも案外いいかもしれない。

 電話とショートメールを使うと割り切るなら(中国人なら加えて中国語のニュースをヘッドラインでタイトルを流し読みし、チャットソフトのQQでテキストをやりとりする程度なら)、安くて軽くて小さくて操作もできていい。

 個人的には海外のケータイ盗難多発地帯に持っていくのに、忍ばせるもよし、盗まれてもあまり痛くないしということで、これを選択していきたい。

 メニュー画面にはサポートアイコンがあり、タップすると同社のウェブアドレスが表示されるが、同社サイトはなかった。

 本体の言語設定は中国語と英語からしか選択できないので、アジアの国に輸出するわけではなさそうだ。

 クールな外見で、シンプルに使うなら一応は使える製品といえる。中国向けに生産したものがすでに販売終了となっているなら、なんとなく“惜しい”製品である。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)。

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