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LEDブルーライトは紫外線よりも害があるのかもしれない

東北大、青色LEDの光で昆虫が死ぬことを発見

2014年12月10日 17時16分更新

文● 行正和義

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 推測される青色光の殺虫メカニズム  

 東北大学は、青色光を当てると昆虫が死ぬことを発見した。強い紫外線が生物に害があることはよく知られているが、場合によっては紫外線よりも強い致死的効果を持つという。

 東北大学大学院農学研究科の研究によると、さまざまな波長のLED光をショウジョウバエの蛹に当て、羽化できずに死亡した蛹の割合を調べたところ。可視光の青色(440nmおよび467nm)で高い殺虫効果があることがわかった。とくに467nmは卵や幼虫、成虫に関しても効果が得られた。光の強さは直射日光に含まれる青色光の3分の1程度という。

 波長が短くエネルギーが高い紫外線は殺菌効果を持つことが知られているが、微生物よりもはるかに複雑な動物である昆虫に対し、紫外線よりも波長の長い(エネルギーが低い)青色光が致死的効果があることはこれまで知られていなかった。昆虫によっては紫外線よりも高い殺虫効果が確認されるなど、エネルギーの大きい高い波長のほうが細胞に害をなすという常識を覆す結果となった。

 虫によって殺虫効果のある波長域が異なる 

 殺虫効果のある波長は昆虫によって異なり、ある種の昆虫では日光に含まれる5分の1程度でも殺虫効果が認められ、蚊に対しては日光の1.5倍を必要するという結果となった。致死メカニズムは解明されていないが、青色光(ブルーライト)が目に有害といわれているのと同様に、紫外線を防御する機能は昆虫にも備わっているが、自然光よりも強い青色光は体表を透過してしまい、体内で活性酸素などを発生、細胞に障害を与えると考えられるという。

 研究グループでは、青色LEDを用いて簡単に殺虫できる害虫防除装置が期待できるほか、波長を工夫することで特定の害虫を駆除できる技術になる可能性を示している。

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