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ヒトを含めた動物の社会的環境と遺伝的要素の複雑な関係への理解へ

東北大、雄同士の求愛行動は遺伝と社会環境で起きることを発見

2015年03月09日 16時58分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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トレッドミル上のショウジョウバエ雄に励起光を当てて脳の神経細胞を刺激し、同時にディスプレイ上の動く光点を見せると求愛行動を開始する

 東北大学は3月9日、ショウジョウバエの研究において、雄同士の求愛行動が遺伝的要素と社会環境の影響で起きると発表した。

 同性に対して求愛行動を起こすことは人間だけでなくさまざまな動物でも見られる。ショウジョウバエには雄に対して同性愛行動を持つようになった系統「satori(サトリ)」が存在し、この系統はfruitlessと呼ばれる遺伝子1個が働いていないことが分かっており、これまで同性愛形質は遺伝的に決まるとされていた。

 東北大学大学院生命科学研究科の研究グループでは、fruitless変異体を隔離して単独で育てると求愛が抑制されることを発見。求愛行動を開始する脳の「P1神経細胞」を直接刺激する方法を用い、ディスプレー上の光点に対して求愛行動を行わせる実験を行った。

 実験の結果、satori変異体の雄でも単独で育てた場合は同性への求愛行動を発達させないが、数日間集団生活をおくった後は同性愛行動を行うことを確認した。satori変異体は集団行動の結果、神経細胞が過剰に反応するようになり、動く標的が雄であっても求愛するものと考えられる。これにより、従来の遺伝的要素だけでなく、遺伝的素因と環境要因が相互に影響して神経細胞の性質を変化させることが分かった。

 研究グループでは、集団で暮らすことによってどのような刺激を受け取り、同性への求愛傾向を発達させるのか、野生の雄はなぜその影響を受けないのか、初期体験の影響がその後も長く持続するのかといった要因を探ることで、ヒトを含めた動物の社会性発達を理解することに貢献できるとしている。

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