「Watch App」はこうなる!
前ページで「iOSアプリの結果」と書いたが、Watch Appの設計のユニークさはまさにここにある。iOSアプリからWatch Appへ送信されるのは処理の情報であり、画像ではない。iOSアプリの結果を受けたWatch Appは、手もとにあるリソースファイルを使いユーザーインターフェースを更新するのだ。だから通信経路は、低速だが常時待機状態にしていても消費電力を気にする必要がないBluetooth LEで足りることになる。
ただし、Bluetooth LEによる通信が前提となるだけに、ある程度の遅延の発生は避けられない。iPhoneとApple Watchの物理的な距離(半径10m以内)も、常に意識しなければならないだろう。
情報がない現在、まったくの推測だが、デバイスの大きさとバッテリーパワーを考慮すると、Apple Watchに搭載されるSoCのパフォーマンスはiPhone/iPadを大きく下回る可能性が高い。それでもキビキビとした動作を実現しようとしてか、Appleはいくつかの対策を講じている。
その対策とは、こうだ。データ転送量をできるだけ減らすべく、Watch App側にも画像リソースを持つこと。動的に生成された画像はWatch App側でキャッシュとして保持すること。あらかじめ用意されたUI要素しか利用できない(カスタムUIを使用できない)こと。当面は、Apple Watch上で単独動作するネイティブWatch Appを開発できないことも、パフォーマンスとバッテリパワーに関係がありそうだ。
タッチパネルを利用した操作体系は、iPhone/iPadと似ているが少し違う。シングルタップとスワイプは同様だが、軽いタップと押し込む操作の違いを判別する「フォースタッチ」、龍頭(りゅうず)型コントローラを回転させてズームやスクロールを行う「デジタルクラウン」はWatchKit独自のものだ。ただし、ピンチなど複数の指を使う操作はサポートされず、開発者が独自のジェスチャを追加することはできない。
ほかにも、デバイス間でデータを譲り渡す「ハンドオフ」がサポートされるなど、iOSデバイスとの連係が考慮されている。2015年のいつ頃発売されるか具体的な時期は不明だが、これらWatch Appの仕様を見ればその姿を想像することはできそうだ。
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