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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第114回

スマホで世界3位となったシャオミ、次はMVNOで通信キャリアに!?

2014年11月12日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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 中国Xiaomi(シャオミ)の快進撃が続いている。”中国のApple”といわれた同社はとうとう、そのAppleに次いで世界3番目のスマートフォンメーカーの座をものにした。新たな資金調達プロセスでは同社の評価額は400億ドルと見積もられており、創業4年目にしてソニーの2倍の価値をつけたことになる。中国市場を制したXiaomi、注目は国際成長戦略に集まっている。

写真は米国での取材中、中国の記者が持っていたXiaomiの「Mi 2A」。カバーもXiaomiのもの。「中国人はXiaomiが大好き」とこの記者

1年で出荷台数は211%増、評価額は4倍に

 この400億ドルという評価額は、Xiaomiが現在話し合いを進めているとされるロシアの投資企業、DSTらからの調達において付いたとされる額だ。前回の調達プロセスは2013年8月、このときの評価額は100億ドルだったというから、1年3ヵ月でXiaomiの価値は4倍に跳ね上がったことになる。

 もちろんこれは過大評価かもしれない。だが、同社は評価額の増加に劣らぬ成長をちゃんと遂げている。

 端末の出荷台数では、中国市場でApple、そしてSamsungを超えて1位になった後、第3四半期についに世界市場でNo.3入りした。IDCとStrategy Analyticsの調査でXiaomiはいきなり3位にランクイン。前年同期比211.3%増という驚異的な成長率をおさめた。

 シェアは前年同期の2.1%から5.3%に増やした。Xiaomiは8月に最新のフラッグシップ「Mi4」を発表しており、さらには今年に入り国際展開としてシンガポール、インドなどの国に進出している。このようなことが成長につながっているといえる。

Xiaomiの次期フラグシップ「Mi4」

 浮き沈みの激しいモバイル端末市場だが、Xiaomiが他のベンダーと異なる点は、直販モデルに代表されるようにオンラインの徹底的な活用がある。リアルな店舗を介さないことから在庫管理や生産管理がしやすいし、コストも抑えられる。次が、Androidの上に乗せているUI「MIUI」だろう。Google PlayをはじめGoogleのサービスをあまり含まず、収益はXiaomiに入ることになる。

 そして、価格だ。最新のMi4は2.5GHz動作のクアッドコアSnapdragon 801プロセッサ、13メガピクセルのソニー製センサー、ジャパンディスプレイ製の5型液晶などトップレベルのパーツを採用しつつ、価格は約330ドル。なお、SamsungのGALAXY S5は約500ドル程度だ。中国人はWeiboやWechatなど中国サービスを好む(Facebookなどの国外のサービスについては政府によるアクセス遮断という事情もあるが)ので(もっともAppleなど国外ブランドも好きなようだが)、Xiaomiを選ぶ人が多いとしても不思議ではない。

すでに黒字化を果たし、純利益は8割成長

 Xiaomiの2013年の売上高は43億ドル、そのうちの94%が端末からとなっている。売り上げに占めるマーケティングコストは3.2%、16%程度のSamsungと比べると格段に低い。それでいて、オンラインを駆使した販売戦略は成功しており、インドでは地元のEコマースサイトFlipkartと組んで定期的に展開しているフラッシュセールで8月、3秒以下で2万台のMi3が販売完了するなどの成果を上げているようだ。

 Xiaomiの収益性を疑う声も中国で耳にしたが、Wall Street Journalが11月初めに報じたところによると、2013年の純利益は前年比84%増の34億6000万元(約645億円)とのこと。あのスペック、あの価格でここまで利益が出せている点は業界を驚かせている。

 さて、Xiaomiは新規投資ラウンドで15億ドルの資金調達を図るといわれている。その資金を何に使うのか……。目下展開中の中国外への進出、新規製品開発などいくらでも考えられる。インドやシンガポールに加えて、Xiaomiは南米進出計画も明らかにしている。

 これらの取り組みを統括するのが元GoogleのHugo Barra氏。“元Google”という枕詞はいまだ抜けないが、すっかりXiaomiの顔になっている。スマホの普及がはじまったばかりの途上国に加えて、トップ2との差を縮めるにあたって、米国や欧州などの成長国進出は必須だ(なお、日本市場については、6月のイベントに登場したXiaomiの共同創業者Lin Bin氏に予定を聞いたところ、「ない」とのことだった)。

 資金調達と同時期にXiaomiがGoProのようなカメラを開発という憶測が流れており、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、TV、セットトップボックスに加えて、新しい製品が登場するのかもしれない。

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