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日々試行錯誤を続けるアジア進出を語る

シンガポールで働くブイキューブ間下社長のアジア奮闘記

2014年10月09日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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3ヶ月経ったら現地の社員が全員入れ替わってた

ASCII.jp大谷:現在、展開している国や地域はどこですか?

間下:アジアでは、中国、香港、台湾、マレーシア、インドネシア、シンガポール、タイ、ベトナム、韓国に展開しています。やれていないのはフィリピンくらいでしょうか。

ASCII.jp大谷:なるほど。進出するにあたってのコツやノウハウってありますか?

間下:私たちもうまくいっているわけではないので、難しい質問ですが、やっぱりローカライズしきらないとダメということですかね。法人営業でチーム作って、日本の会社っぽくやるのはやはり難しいです。

ASCII.jp大谷:ローカライズというと、やはり言語の部分でしょうか?

間下:いいえ。たとえば人事とか。日本では転職前提で人生を考えてないですが、シンガポールとかだと、3年間同じ会社にいるのを能力のない証という人もいます。長く勤めるというのは、転職できない人と捉えられちゃうんですよね。

インドネシアとかも、日本のように長く勤める文化がないし、「給料を倍にするから」いうことで、外から引き抜かれちゃうんです。日本企業に勤めていたというだけで、引き抜かれてしまう。3ヶ月経って現地に行ったら、社員が全員入れ替わっていることもありました(笑)。

「3ヶ月経って現地に行ったら、社員が全員入れ替わっていることもありました(笑)」

ASCII.jp大谷:すごいですね。

間下:でも、人事の女性を雇って、ローカル式でやったら、流出がぴたりとやみました。

うちの場合、ビジネスが短期ではなく、長期に渡るので、国によっては人事制度まで作っていく必要があります。こうなると、日本人では組織が組めないんです。実際、中国のチームは日本人ゼロです。香港人が経営していて、現地のやり方でうまく行っています。今後もマネージャーとか、現地社長として日本人を送り込むようなことはないです。

ASCII.jp大谷:では、日本人でアジアのビジネスを展開するわけではないんですね。

間下:ケースバイケースです。やはり多様性を理解できる人というのが、大きなキーですね。

ITの世界でグローバルに対応できるのは、米国企業しかないと思いますが、彼らはアジアを知らない。一言でアジアといっても、各国で言語も、宗教も、インフラも、物価体系も、ユーザーリテラシも全然違うけど、彼らはAPACとかでくくりたがる。同じようにやるのは難しいですよ。

日本人のアドバンテージは、宗教色が薄いところ。東南アジアのようにさまざまな宗教があっても、日本人は受け入れやすいと思います。逆に言えば、宗教に対するリスペクトもないので、現地でもめるタネにもなりますけどね。とはいえ、アジアには親日国も多いですし、日本ブランドはまだまだ使えます。

行ってみて日本のグローバル企業の気持ちがわかった

ASCII.jp大谷:こういう知見は、行ってみないとわからないですよね。

間下:アジアに進出したことで、もう1つ得たのはやはりインフラ事情です。うちみたいなWeb会議は、インフラが重要なのですが、アジアはやはりローカルと国際間の断絶が大きいんです。ジャカルタ市内に比べて、ジャカルタからシンガポールまでは遅延が100倍あるとか。ですから、ブイキューブでは各国のデータセンターにサーバーを置いて、国際間はインターネットではなく、専用線でつないでいます。とはいえ、こうしたインフラ事情は、まさに行ってみないとわかりません。

おかげで、現地の会社だけではなく、アジアに進出している日系企業にも売れるようになりました。わわわれがグローバル化したおかげで、日本のグローバル企業の気持ちや課題がわかるようになったんです。しかも、グローバル進出している競合がいないので、ここが圧倒的な差になっています。

ASCII.jp大谷:今後、市場として注目している国はありますか?

間下:タイには注目しています。弊社の製品をインラック(タイ初の女性首相)首相が使ってくれたのですごく追い風でしたが、先日クーデターで失脚してしまいました。その点ではダメージも大きいのですが、なにしろ人口は8000万人いますし、経済レベルやインフラもかなりよくなっている感じがします。クーデターが起こっても、民間はあまり影響を受けないし、GDP自体は伸びてますしね。

長期的に見れば、インドネシアなんですけど、ここは近代化の進み方が読めません。人口が2億4000万人と言いますけど、まだ2億人以上は畑を耕し、魚を釣っていますからね。市場として考えるとまだまだ。島が猛烈に多いし、言葉も違うし、インフラの整備がまったく進んでいないので、正直わからないです。

とはいえ、1つの国で売上10億円程度を目指しているので、マクロ的な経済動向はあまり関係ないです。海外比率は40%程度まで高めるつもりですが、相当長くかかるでしょうね。

ASCII.jp大谷:聞けば聞くほど、本一冊になるくらいのネタがありますね(笑)。

間下:本当にまだまだもがいていますよ。まあ、サメが海底ケーブルを食べちゃうくらいは想定の範囲内。「カスタマイズした結果を見てから導入を決めたい」といった無茶な要望とか、ある日突然お金を払わなくなるといったリスクも含め、想定範囲外の事態やカルチャーの違いにどう対応するか、日々悩んでいます。でも、やってみるしかないんでしょうね。

「想定範囲外の事態やカルチャーの違いにどう対応するか、日々悩んでいます」

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