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日々試行錯誤を続けるアジア進出を語る

シンガポールで働くブイキューブ間下社長のアジア奮闘記

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新しい市場を求めアジア進出を目指す企業は多いが、クラウド型Web会議サービスを提供しているブイキューブは、社長自らシンガポールに移住し、現地での陣頭指揮をとっている。代表取締役社長 CEOの間下 直晃氏に現地での奮闘ぶりを聞いた。(インタビュアー ASCII.jp編集部 大谷イビサ 以下、敬称略)

定石から外れてマレーシアから始めた理由

ASCII.jp大谷:まずはブイキューブのアジア展開についてまず教えてください。

ブイキューブ代表取締役社長 CEOの間下 直晃氏(以下、間下):2009年にインテルからの出資を機に、アジア展開を始めました。主眼は海外売上を増やすこと。そして、日系企業以外に使ってもらうことです。

ブイキューブ代表取締役社長 CEOの間下 直晃氏

日本はようやく100億円規模の市場になり、5~6年に1000億円規模に成長します。これに対して、アジア市場は全部足しても数十億円規模しかないので、正直まだ市場は形成されていません。ですが、今後10年で10~100倍に成長するのは確実です。もちろんボリュームで中国市場が圧倒的に大きいのは事実ですが、他のアジア諸国もかなり伸びていきます。こうした市場動向をにらみ、早めに土壌を作ろうと思って、まず行ったのがマレーシアでした。

ASCII.jp大谷:なぜマレーシアだったんですか?

間下:アジア展開というと、まずシンガポールが思い浮かびますが、なにしろコストが高い。国策で外資系企業を誘致しているので、たとえばエグゼクティブ向けの家賃がとても高い。100万円/月の家賃は決して高くない。しかも、シンガポール自体は市場としては小さいので、結局アジア各国を飛び回って仕事になるんです。

その点、マレーシアはクアラルンプールがハブ空港ですし、英語やマレー語はもちろん中国語やタイ語などを話せるマルチリンガルの人材が多い。回線環境も場所によってはシンガポールより優れています。人口も2000万でシンガポールの4~5倍だし、物価は1/3。人件費も1/4~1/5なので、なによりブレイクイーブンに持って行きやすいと考え、営業展開はマレーシアから始めました。

ASCII.jp大谷:最初はどうでしたか?

間下:最初はパートナー経由で販売しましたが、まったく売れませんでした。まあ、これは日本でも同じですが、市場がないとパートナーは売ってくれないし、われわれのようなSaaSの月額課金型のビジネスモデルは、目先のみを考える営業マンは売りたい商材というわけでもない。結局、上がOK出しても、現場の営業マンが売ってくれないんです。

定石通り、海外だからパートナー経由と思ったんですけど、少なくともうちは違いました。1本500万円のパッケージ製品やSIerの場合はいいでしょうけど、月々数万円の月額課金モデルの場合はパートナー販売は難しい。そもそもソフトウェアは無料で当たり前という国もいまだに多いので。

ASCII.jp大谷:なるほど。日本と同じ課題が海外でもあったんですね。

間下:はい。なので、2012年からはテレアポを使った直販を始めました。もちろん、今も成功しているわけではないですが、テレアポはやりやすいんです。窓口に連絡すると、IT担当者の名前を紹介してくれますし、場合によっては直接つないでくれます。アポ率も10%くらいいくし、とりあえず話は聞いてくれます。なかなか成約までたどり着かないのですが(笑)。

「本社のグローバル化」を実現したかった

ASCII.jp大谷:その後、シンガポールにR&D拠点を作ってますよね。

間下:はい。2012年1月にシンガポールにR&Dのセンターを設立し、ここを中心にソフトウェア開発を作ろうと思いました。シンガポールのメリットは、給料が高いので、周辺国から優秀なエンジニアを集めやすいところ。周辺国のナレッジを集めた多国籍軍が作りやすいんです。実際、今R&Dセンターには15名の従業員がいますが、8カ国に渡っています。

「シンガポールのメリットは、給料が高いので、周辺国から優秀なエンジニアを集めやすいところです」

昨年の1月には私が家族とシンガポールに移住して現地の指揮を執っています。今は2週間に1回くらい帰ってきてて、年間の1/3くらいは日本ですね。

ASCII.jp大谷:社長自らシンガポールに行くことにしたのはなぜですか?

間下:現地の状況がわからないからです。やっぱりレポート見てもよくわからないんですよ。あと、日本のオフィスは市場の大きい日本しか見ないので、海外がどうしても後回しになる。日本の常識とは異なるリクエストに対応できないんです。多くのグローバル進出って、本社から現地への支援がないので、失敗するんです。

「本社のグローバル化」を実現するには、やはり本社に注目してもらうこと。だったら、社長が現地に行ってしまうのが手っ取り早い。創業者で、代表者でもある私のポジションをうまく使えば、本社も無視できないというのがシンガポールに行った理由です。

ASCII.jp大谷:マレーシアではないんですね。

間下:家族といっしょに住むのによいところとなると、やはりシンガポールなんです。クアラルンプールは確かに安いし、食べ物も美味しいですが、治安や政権の安定性を考えると、シンガポールに軍配が上がります。もともと営業よりも、私が製品開発を束ねている関係もあって、シンガポールの方があっていたんです。

(次ページ、3ヶ月経ったら現地の社員が全員入れ替わってた(笑))


 

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