2014年7月にSINETへの直接接続も完了
Webサイトや解析、MOOCまで!学術分野に拡がるAWS活用
2014年07月18日 09時00分更新
今年のAWS Summit Tokyo 2014では、「AWS is Everywhere」ということで、エンタープライズやスタートアップにとどまらない幅広い分野でAWSが使われている点がアピールされていたように思う。ここでは1日目に開催された学術分野でのAWS利用についてのセッションを紹介する。
コスト面でのメリットが大きい
初日の基調講演の後、「EdTech&Research」というトラックで開催されたランチセッションが米Amazon Web Servicesでパブリックセクターや教育分野を手がけるスティーブン・ホーリウェル(Steven Halliwell)氏による「AWSにより加速する世界のEducation Technologyの最先端」だ。
パブリックセクターでのAWS導入は拡大しており、政府機関で800強、学術機関で3000強の導入があるという。こうした中、学術機関がAWSを導入する理由は、やはりコストの問題が大きい。なにより初期コストを下げつつ、利用増大にあわせて、さらなるコスト削減を実現するため、AWSを導入するというパターンだ。
さまざまな利用用途でAWSが活用
学術分野のAWS導入といっても、利用用途はさまざまだ。
まずは単純なWebサイト。たとえば、ノートルダム大学では、大学がニュースで取り上げられたり、フットボールのチャンピオンシップ時にWebサイトへのトラフィックが急増していた。これをさばくためにAWSを導入し、オンプレミスの時より、約60%以上のコスト削減を実現した。また、日本の電気通信大学では、卒業式や入学式の模様をライブ配信する際にはAmazon CloudFrontを活用。大量のWebアクセスに備えるというベーシックなクラウドの使い方をAWSで実現している。
また、サイエンティック・コンピューティングという分野では、おもにデータ解析がメインの利用用途になる。バークレー大学で機械学習とデータ分析の開発に取り込んでいるAMP Labでは、ゲノム解析のアルゴリズムを分析のために、Amazon EC2を計算機として活用している。ゲノム解析に関しては、グローバルでのアライアンスで研究成果を共有しており、こうした点でもクラウドは大きな役割を果たしている。
そして最近注目は、MOOC(Massive Open Online Course)やオンライン学習と呼ばれる分野だ。東京大学やプリンストン大学、スタンフォード大学などのオンライン講義に提供しているCourseraは、オンライン学習のシステムをAWS上に構築。ビデオの格納や配信、学生と教師との交流、学生のトラッキング管理などを実践しているという。これにより、膨大なトラフィックの管理を省力化し、ビデオ視聴やWebページのロード時間を大幅に短縮している。
こうした事例は日本でも徐々に増えているが、まだまだオンプレミスがメインだ。しかし、2014年7月には学術ネットワークの「SINET」との直接接続が完了。学内からAWSのサービスを利用しやすくなったという。
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