米Amazon Web Services(AWS)は11月12日から15日にラスベガスで開催した「AWS re:Invent 2013」に合わせ、多数の新サービスや既存サービス強化を発表した。ここでは主要な新サービスおよび新機能に絞って紹介する。
仮想デスクトップ環境を月額料金で!「Amazon WorkSpaces」
「Amazon WorkSpaces」は、AWSクラウド上でホスティングされた仮想デスクトップ環境(VDI)を提供する新サービス。PCやMac、タブレット(iOS、Android、Kindle Fire)などのデバイスから、PC-over-IP(PCoIP)プロトコルを使って個々のユーザーに用意された永続的なデスクトップ環境にアクセスできる。
同サービスではWindows 7デスクトップ環境(Windows Server 2008 R2ベース)が利用でき、仮想CPU個数、メモリ容量、ストレージ容量、インストール済みアプリケーションの異なるプランが合計4種類用意されている。「Microsoft Office Professional 2010」がインストール済みのプランもある。初期費用はなく、月額料金は1ユーザーあたり35~75ドルで、AWSではオンプレミス型VDIソリューションを導入する場合の「半額以下のコストを実現」すると述べている。
管理者が管理コンソールでユーザー名、ユーザーのメールアドレス、適用プランを入力すると、新しいデスクトップ環境が20分以内にプロビジョニングされ、ユーザーにメールで通知される。ユーザーはメールに含まれるURLからクライアントソフトをダウンロードすれば利用を開始できる。
なお、ユーザーが使用するディスク領域は「Amazon S3」ストレージにバックアップされる。また、初回セットアップ時にVirtual Private Cloud(VPC)が構成され、各VDIインスタンスはそのネットワーク内にホストされるため、オンプレミスのネットワークと接続すればActive Directoryなどによる管理が可能になる。
現在は限定プレビューサービスを提供している。
ストリーミングでリッチアプリ開発を支援「Amazon AppStream」
「Amazon AppStream」は、Windows、iOS、Android、FireOSなどのクライアントプラットフォームに対応した、3Dゲームアプリや高画質インタラクティブアプリの開発を支援する新サービス。アプリ開発者向けにAPIやSDKが提供されており、最大720pのビデオ解像度と毎秒30フレームのストリーミングを提供し、3Mbps以上の接続速度を実現するとしている。
AppStreamでは、「Amazon EC2」に今月追加されたGPU搭載インスタンス(G2インスタンスタイプ)上のWindows 2008 R2環境で2D/3Dグラフィックやオーディオを含むアプリを動作させ、その出力をクライアント側アプリにストリーミングする。こうした仕組みのため、幅広いプラットフォームに対応したリッチなアプリを、クライアント端末のリソースを大きく消費することなく実現できる。また、サーバー上のアプリを修正すればすべてのクライアントにアップデートが適用されるほか、クライアントアプリのインストールも短時間で済むなどの利点がある。
サーバー側アプリの開発には、WindowsのネイティブAPIやAWSのリソース(RDB、DynamoDB、S3など)のほか、AppStream独自のサーバーAPIも利用できる。AppStream APIはコネクション管理やサーバー上でのレンダリング、オーディオ/ビデオのフレームのリクエスト、端末からの入力情報などを扱う。キーボードやマウス入力、タッチスクリーンのほか、加速度センサーやGPSレシーバーのようなハードウェアにも対応する。
AWSではAppStream SDKや、サンプルのサーバー/クライアントアプリケーションを配布している。AppStreamの利用料金は月間のストリーミング利用時間に応じて決まり、月間20時間までは無料(12カ月間)、月間20時間以上は1時間あたり0.83ドルとなっている。
なお、現在は限定プレビューサービスを提供している。
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