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業界人の《ことば》から 第98回

独自技術だけでも、コモディティー技術だけでもテレビは成立しない

公約の黒字化達成、課題抱えソニーテレビ事業会社が発足

2014年07月02日 09時00分更新

文● 大河原克行

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Android搭載のBRAVIAもまた縦糸と横糸の織布

 さらに、先ごろ、サンフランシスコで開催されたGoogle I/Oでソニーが明らかにした最新Androidの「L」を採用した液晶テレビの投入についても、やはり縦糸と横糸の関係で表現できる。

トリニトロン方式の第1号機であるKV-1310

 今村社長は、「いまの状況を考えると、ソニーが新たなOSを開発することはあり得ない。世の中に存在している、お客様が一番便利なものを横糸として使い、それをソニーのテレビをあわせていく。ソニーは、2015年度のBRAVIAの多くのラインアップに『L』を搭載していく考えだ。ソニーにとっては、お客様が、どのように簡便にテレビを使ってもらえるか、どのように楽しく使ってもらえるかという点が大切。それ実現するために、Lを採用していく」と説明した。

 水平型の幅広い技術を活用しながら、ソニー独自の技術をこれに組み合わせていく。こうした考え方が、今後のソニーのテレビ事業の基本的な姿勢となる。

 もうひとつ興味深いのは、社名に「テレビジョン」ではなく、「ビジュアルプロダクツ」という名称を用いた点だ。

4K試験放送に対応した124/128度CSデジタルチューナー。今年秋の発売予定だ

 その点については、今村社長は次のように語る。

 「テレビというのは、遠くを映し出す箱を指す言葉だった。だが、これからは、商品の形や、映し出される映像や音、コンテンツへのリーチの仕方、使い勝手といったものが、すべて変わっていく。ビジュアルを中心に、お客様に新たな価値を与え、体験価値が変わっていくことになる。こうしたことが3年後におきる」

 そしてこうも語る。

 「新しいテレビを成し遂げたメーカーはまだない。BRAVIAは感動を映し出す窓になる。そのときには、テレビそのものが、新たな単語で表現されることになるだろう。何10年もテレビという言葉が使われてきたが、3年後、あるいは東京オリンピックの前には、ソニーが新たな言葉の定義を作れればと思っている」

 ソニーは、テレビ事業の分社化によって、テレビとは異なる新たな製品を創出しようとているようだ。

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