ソフトウェア、ハードウェアの改善に協力するインテル
こうした課題解決に向けたインテルの取り組みとして、パランジェペ氏はまず、広範なパートナーとの協業、パートナーエコシステムを挙げた。ソフトウェア開発者やハードウェアベンダーだけでなく、研究機関や医薬企業といったパートナーも多くいる。
たとえば、OSSのゲノム解析ソフトウェア「GATK(Genome Analysis Toolkit)」では、ソフトウェアの動作を解析した結果、CPUコアなどのハードウェアリソースを十分に使い切っていないことがわかった。インテルの協力によってソフトウェアを最適化することで、最大970倍のスピードアップが図られたという。「3日かかっていた解析処理が、1日で済むようになった」(パランジェペ氏)。
一方ハードウェアでは、デルと協業して「次世代シーケンシングアプライアンス」を開発中であると紹介した。このアプライアンスを使えば、従来7日間もかかっていたRNA配列解析処理が4時間で終わるという。医療現場におけるその“意味”を、パランジェペ氏は次のように説明する。
「たとえば小児がんの患者に対し、医師が1日3回投薬してその効果を見たいとする。解析に7日もかかるならば無意味だが、4時間で済むならばほぼリアルタイムに投薬の効果が見られる」(パランジェペ氏)
このように、個々の患者に対し、投薬や治療行為の効果を見ながら最適な個別治療/予防の計画を立てて進めていくのが「個別化医療(Personal Medicine)」である。ITを通じて患者のさまざまなデータを蓄積、医療者間で共有し、あるいはごく短時間で解析できることの意味は大きい。
パランジェペ氏はそのほかにもHadoopソリューション、「SAP HANA」を採用して超高速な遺伝子解析を行うMKI(三井情報開発)のソリューション、スーパーコンピューターにより遺伝子情報のシミュレーション解析を行う東大ヒトゲノム解析センターのソリューションなどを紹介し、それらの背景にインテルのテクノロジーが存在することを強調した。
「ここまで見てきたように、ITは科学の進化に追いつこうと努力してる」(パランジェペ氏)
(→次ページ、社会全体の協調で「2020年までに個別化医療を主流に」)