
WWDC14の会場2Fに展示されているCarPlay対応のフェラーリFF。間近で見ると気分まで高揚してきます
Appleは、サンフランシスコで6月2日から開催した、開発者イベント「WWDC 14」で、Mac向けの最新OSであるOS X Yosemite、iPhone/iPad向けのiOS 8、そして新開発言語Swiftなどを発表しました。プロダクトの発表はなし、近年で最も“開発者向けイベントらしい”基調講演だったと振り返ることができます。
AppleのiOS向けの新しいAPIのなかに、スマートホーム連携ができるHomeKit、健康管理系のアプリをまとめるHealthとHealthKitを披露しました。今までは、開発者はiPhone向けのアプリを開発して人とのインタラクションを作っていました。つまり開発者は、iPhoneをアプリで抱き込んで、人とやりとりしていた印象でした。
今回の発表以降、その関係性は変わり、人とiPhoneが一体的になり、開発者がアプリで人にアクセスするという構図に変化したような印象です。iOSはMacとの連携だけでなく、人との一体感も高めたのではないかと見ています。今後登場するアプリも、より人との関係性を意識したものになるのではないでしょうか。
人の視点から見ると、iPhoneという存在は、常にポケットに入っている“カギ”のようなものになると思います。
スマートホームにも対応するため、実際の家のカギ代わりにもなるのですが、家のカギだけでなく、健康やクルマ、学び、決済など、今までのウェブやソーシャルの世界以外へのカギとしても作用する、そんな存在になっていくでしょう。自分自身が身の回りのテクノロジーと会話する際、iPhoneがその間を取り持ってくれるのです。
WWDCの会場では1台のフェラーリがお出迎え
WWDC 14は例年通り、サンフランシスコのSOMAエリアにあるモスコーンセンターで開催されました。1Fのロビーが受付で、基調講演は3Fの会場で行なわれるため、エスカレーターで3Fまで上がっていくのですが、2Fに付いたときにプレス陣から「おお!」と歓声があがりました。
目の前に現れたのは、なんとフェラーリ・FF。12気筒エンジンを搭載した4人乗車&4WD(Four FourでFF)のスーパーカーは、サンフランシスコの霧間から差し込む朝日の中で、つや消しシルバーのボディーを渋く光らせていたのです。
このフェラーリの車載マルチメディアシステムはCarPlayに対応しており、そのデモのために1965年式のフォード・マスタング+パイオニアのCarPlay対応端末、シェビー・スパークEV、そしてフェラーリFFの3台が展示されていたのです。このうちデモが行なわれたのは、価格が最も高いことが明らかなフェラーリ・FFでした。
(次ページでは、CarPlay+フェラーリの動画を日本語解説)

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