iPhoneと人をコンビにして
あらゆるものとコミュニケートさせる
今回のWWDC14の基調講演では、すでに発表済のCarPlayについては言及されませんでした。その代わり、HomeKit、HealthKitという2つのAPIが披露されました。
HomeKitはスマートホーム連携が可能なアプリを開発できるAPIで、HealthKitはフィットネスや医療情報をiPhoneで扱えるようにするAPIです。いずれもiOS 8から利用できます。スマートホーム関連のアプリは用意されていませんが、HealthKitを活用して集められた情報を一元管理できるHealthアプリがiOS 8に仲間入りしました。
クルマ、家、そして自分の健康…どれを取ってみても、製品の買い換えサイクルはiPhoneを含むスマートフォンの約2年より長いものばかり。健康に至っては、自分の体とは80年以上の付き合いになるわけです。そうしたものがiPhoneに対応したり、iPhoneを生かして便利に使えるようになると、iPhoneを選び続けてもらえるようになります。
このような製品サイクルが長いものとiPhoneを連携させる戦略は、開発者がどのようなアプリやデバイスをiPhoneと連携させるか、あるいはどんな便利さや魅力を提案できるかにかかっています。開発者にとっては、これまでのアプリの作り方から少し変化が必要かもしれません。
これまで、iPhone向けにアプリを作る場合、iPhoneの画面を通じてアプリが人とインタラクションをする、というアイディアだったと思います。つまり、アプリと人の間にiPhoneがある、という構図です。
しかしWWDC 14を取材して、AppleがiPhoneの位置づけやiOS 8で実現する機能の変化を見ると、iPhoneは、人とアプリの間に入るものではなく、人との密着をより強めていく方向へと進んでいるように思えます。アプリ開発者は、イメージとしてiPhoneと一体化した人に直接アプリを送り届けるようになっていくのではないでしょうか。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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